「ショパール(CHOPARD)」はラグジュアリーウオッチとハイジュエリーにおいてサステナビリティの先駆者として業界をリードしている。まばゆく輝く時計やジュエリーを、よりクリーンかつグリーンなものにするための取り組みは、各方面から注目を浴びている。ジュエリー&ハイジュエリー、レディスウオッチ部門を統括するアーティスティック・ディレクターであるショパールのキャロライン・ショイフレ(Caroline Scheufele)共同社長への独占インタビューを交えながら、サステナビリティへの取り組みと「カンヌ国際映画祭」との深い絆などについて紹介する。 (TEXT:KEIKO HOMMA)
「ショパール」が支える
「カンヌ国際映画祭」の舞台裏
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世界三大映画祭の一つである「カンヌ国際映画祭(FESTIVAL DE CANNES)」と「ショパール」の深いつながりは今年で25周年を迎える。最高賞である「パルム・ドール(THE PALME D’OR)」のトロフィーは「ショパール」が制作。1997年に、当時の映画祭会長からの依頼でキャロライン共同社長がトロフィーをリデザインし、翌年に「ショパール」は映画祭の正式パートナーになった。“黄金の棕櫚(シュロ)”という意味があるパルム・ドールは、ロッククリスタルの原石をエメラルドカットのダイヤモンドの形に研磨し、18Kイエローゴールドの棕櫚の葉をあしらっている。「ショパール」のハイジュエリーアトリエの職人5人が制作に携わり、約40時間をかけて完成させる。また、2013年に「ショパール」がコミットした「サステナブル・ラグジュアリーへの旅(以下、サステナブル・ラグジュアリー)」のプログラムの一環として、14年からは、鉱山で働く労働者と環境に配慮して採掘された“フェアマインド認証を受けたゴールド”を使用して制作。これによりパルム・ドールは、映画界唯一のエシカルなトロフィーとして賞賛を浴びることになった。
また、「ショパール」は、レッドカーペットを歩くセレブリティーたちを同ブランドのハイジュエリーやウオッチで飾っている。そのセレクションもキャロライン共同社長の大切な仕事だ。毎年、映画祭に合わせて発表されるハイジュエリー“レッド カーペット コレクション”は映画祭の開催回数と同じ点数で構成されている。第75回を迎える今年は、75作品が登場する。
ジュリア・ロバーツが
名作時計のエスプリを体現
“ハッピースポーツ”の躍動感を体現するジュリア・ロバーツの生き生きとした表情を捉えたムービー。THE HAPPY DIAMONDS MOVIE DIRECTED BY Xavier Doran STARRING Julia Roberts
キャロライン共同社長は21年、メゾンのアイコンウオッチである“ハッピースポーツ”の新作発表に際し、ジュリア・ロバーツ(Julia Roberts)を迷わずアンバサダーに選んだ。ジュリアは16年、「カンヌ国際映画祭」でロングドレスに「ショパール」のジュエリーを着用し、裸足でレッドカーペットを歩いた。これはフラットシューズで会場に入ろうとした女性が、ハイヒールでないために係員に追い返されたことに対する抗議と言われている。彼女のナチュラルで優雅、そして気負いのない自由なアプローチは、“ハッピースポーツ”のエスプリである“ジョワ・ド・ヴィーヴル(生きる歓び)”を体現するものだった。このコレクションは、1993年にスチールとダイヤモンドを組み合わせるという、それ以前の高級時計作りの概念を覆すキャロライン共同社長のアイデアから生まれたロングセラー。ハイレベルな職人技と精緻な自動巻ムーブメント、自由に動き回るムービングダイヤモンドの遊び心が一体化した“ハッピースポーツ”は今でも話題の中心にある。
“真のラグジュアリー”
に変革を
ショパールは業界でいち早く、エシカルゴールドの取り組み「サステナブル・ラグジュアリー」をスタートした。キャロライン共同社長は、「2012年、採掘者の過酷な労働条件に衝撃を受け、業界全体を変えるべきだと取り組みを始めた。サプライチェーンに関わる全ての人々を守るのが目的だ」と語る。同社は13年に「サステナブル・ラグジュアリー」プログラムを立ち上げて公正な採掘のための連盟(ARM)と連携してゴールドの採掘者のコミュニティーへ支援を開始。「18年、業界で初めて時計とジュエリーの全てをエシカルゴールドで制作できたことを誇りに思う」とキャロライン共同社長。一族経営でありながら、率先したサステナビリティ活動に取り組んでいる。「サステナビリティは、終わりのない旅。ビジネスを支える人々の環境を守るのが優先だ」。ショパールが重要視するのは、“誠実”と“透明性”。「『サステナブル・ラグジュアリー』とは、地球と人類の尊重。ラグジュアリー製品の所有者が、その背景を知らないのは、問題。“真のラグジュアリー”の概念に変革をもたらすのがショパールだ」とキャロライン共同社長。同社が今後取り組むのは、色石や貴石の原産地証明だ。「“ローマは一日にしてならず”。われわれの“旅”はまだまだ続く」。
フェアマインド認証、
RJCとは
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「ショパール」が使用するエシカルゴールドとは、2つのトレーサブルな制度に従って調達される。まず、「責任ある宝飾品業のための協議会(RJC:RESPONSIBLE JEWELLERY COUNCIL)」のCoC認証(CHAIN OF CUSTODY、サプライチェーン全体で責任ある方法で供給される貴金属)を得ているもの。そして、国際的資源コングロマリットに属さない小規模な鉱山採掘者が責任ある方法で採掘した“フェアマインド認証ゴールド”だ。これにより、鉱山で働く人々の雇用を創出し、生活向上に貢献できる。例えば、コロンビアのチョコ県にある小規模鉱山採掘者、バレケロス(Barequeros)。ここでは労働者の46%を女性が占め、古くから伝統的な手仕事で砂金を採っているため、水銀などの化学物質を使わず、生物多様性の保全に役立っている。「ショパール」では18年に自社全てのウオッチ&ジュエリーに“エシカルゴールド”を使用している。
ショパール ジャパン プレス
03-5524-8922