ラグジュアリーECのファーフェッチ(FARFETCH)は4月20日、50以上の高級ビューティブランドの取り扱いを開始した。スキンケア、メイク、ヘア、フレグランス、バス&ボディの5つのカテゴリーで構成されており、いずれは100以上のプレステージブランドをそろえる予定だという。現在は米国、英国、欧州市場が対象となっており、日本での展開時期は未定。
現時点で取り扱っているブランドは、「シャネル(CHANEL)」「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」「グッチ(GUCCI)」「ドゥ・ラ・メール(DE LA MER)」「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」「プラダ(PRADA)」「シスレー(SISLEY)」「トム フォード ビューティ(TOM FORD BEAUTY)」「イヴ・サンローラン・ボーテ(YVES SAINT LAURENT BEAUTE)」「バーバリー ビューティ(BURBERRY BEAUTY)」「イソップ(AESOP)」「フレデリック マル(FREDERIC MALLE)」「オラプレックス(OLAPLEX)」「アールエムエス ビューティー(RMS BEAUTY)」「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH以下、オフ-ホワイト)」など。
「オフ-ホワイト」は、同ブランド初となるビューティライン“ペーパーワーク(PAPERWORK)”の第1弾として、フレグランスを同日に発売した。ファーフェッチが「オフ-ホワイト」の親会社であるニューガーズグループ(NEW GUARDS GROUP以下、NGG)を擁していることから、同ブランドの店舗とオンラインストア以外ではファーフェッチのみでの取り扱いとなっている。香りは“ソリューション No. 1(SOLUTION No. 1)”から“ソリューション No. 4(SOLUTION No. 4)”まで4種類あり、いずれもジェンダーニュートラルで、自己表現の幅をさらに広げるようなイメージで調香されているという。価格は100mLで185ドル(約2万3000円)。なお、「オフ-ホワイト」は18年にフレグランスブランド「バイレード(BYREDO)」とのコラボレーションで香水を発表している。
“ペーパーワーク”は、フレグランスのほかにも、顔やボディーに使用できるクレヨン“インプリント(IMPRINT)”や、ネイルポリッシュ“カラーマッター(COLOR MATTER)”などを近日中に発売する予定だ。
ファーフェッチのホリー・ロジャース(Holli Rogers)=チーフ・ブランド・オフィサーは、「当社のビューティ事業はファッション事業よりも小規模ではあるが、今後さらに成長していくだろう。われわれは幅広い層の顧客を抱えており、ビューティへの参入によって新規顧客が大幅に増えると見込んでいる」と語ったものの、売り上げ目標などは明らかにしなかった。なお、同社の2021年12月通期における流通取引総額(GMV)は42億ドル(約5376億円)に達し、19年の倍の規模に成長している。
ビューティは3000億ドル(約38兆4000億円)からなるパーソナルラグジュアリーグッズ市場の大きなシェアを占め、ファーフェッチは同市場をさらに開拓していく狙いだ。施策の一つとして、ウェブサイトのデジタル技術をさらに強化し、バーチャルでメイクアップを試せるようにする。まずはリップから提供し、将来的にはファンデーションなどにも広げていく予定。また、ゲーミングプラットフォーム「ロブロックス(ROBLOX)」などとの提携により、コンテンツクリエイターが自身のビューティアバターを作成できるようになるという。
ファーフェッチは、ビューティ市場への本格的な参入に先駆け、22年2月にビューティECのヴァイオレット グレー(VIOLET GREY)を買収した。ヴァイオレット グレーは独立して経営を続けており、カサンドラ・グレー(Cassandra Grey)創業者はファーフェッチのビューティのグローバルアドバイザーに就任したほか、NGGのビューティ事業であるNGGビューティ(NGG BEAUTY)の共同創設者となっている。ファーフェッチはまた、「コミュニティーを育て、啓発し、インスパイアする」ため、“グローバル・ビューティ・コレクティブ(Global Beauty Collective)”を設立。グレー創業者をはじめ、メイクアップアーティストやヘアスタイリスト、皮膚科医、化粧品化学者、俳優、ドラァグクイーンら8人が創設メンバーとなっている。