ワールドは今期、デジタル事業とプラットフォーム事業(生産や販売などリソースの外販)への投資を加速する。前期(22年3月期)の営業黒字(53億円)転換を受け、課題だった主力のブランド事業の立て直しに一定のメドをつけた。今後の成長分野の収益拡大に舵を切る。
同社は「中期ビジョン」において、25年3月期にEC売上高500億円以上(22年3月期は356億円)、プラットフォーム外販事業で売上高200億円(同139億円)を目標値に掲げる。売上高の成長が足踏みしている自社ECに関しては、他社ブランドの取り扱い拡大によるモール化や販売員によるアプリ内コンテンツ強化でテコ入れする。外部ECとの取り引きも積極的に拡大する。
プラットフォーム事業においては、店舗設計デザインはアスプルンド、商品のOEM・ODMはワールドプロダクションパートナーズ、コスト面のコンサルティングはワールドビジネスサポートといった、それぞれ専門領域を持つ子会社が担ってきたが、このほどこれらを束ねる新会社ワールドプラットフォームサービスを設立。アパレル販売に関わるソリューションを一気通貫で提供できる体制を整えた。今年3月には店舗・EC統合物流の構築・運営をユナイテッドアローズから受託して以降、「多くの同業他社さまからのお問い合わせをいただいている」(鈴木信輝社長)という。
ブランド事業は引き続き商品仕入れのコントロールと正価販売シフトを進める一方、新ブランドの立ち上げにも取り組む。クリエイターやインフルエンサーと協業し小規模ブランドを開発するワールド・ファッション・クラウドが事業開発のモデルケースになる。「従来のように店舗ありきの事業開発のプロセスとは相当変えていくことになる。並行して複数のブランドをテスト的に立ち上げ、お客さまのニーズを探りながら成長性を見極めていきたい」。