三越伊勢丹ホールディングス(HD)の2022年3月期連結業績は、小売業の売上高に相当する総額売上高が前期比11.8%増の9121億円、営業損益が59億円の黒字(前期は210億円の赤字)、純損益が123億円の黒字(同411億円の赤字)だった。主力の百貨店事業は63億円の営業赤字だったが、クレジット・金融事業が60億円、不動産事業が55億円の営業黒字を計上し、利益を押し上げた。
百貨店事業の売上高は前期比14.6%増の3739億円。営業損益も前期と比較すれば239億円の改善。人件費や地代家賃、宣伝費などの収支構造改革により、販管費は前期との比較で262億円分削減した。細谷敏幸社長は「コロナを経てこれまでの既成概念にとらわれない改革を行い、より強靭な企業に生まれ変わりつつある」と手応えを口にする。
細谷社長が就任以降注力する、個人外商やカード・デジタル会員を総称した「識別顧客」の拡大も進展した。22年3月期の個人外商の売上高は前期比10.3%増、年間購入額100万円以上のカード会員の売上高は同33%増と伸ばした。
23年3月期連結業績は、総額売上高が前期比15.1%増の1兆500億円、営業利益が同2.3倍の140億円、純利益が同37.8%増の170億円を予想する。百貨店事業の営業損益は40億円の黒字を見込む。子会社三越伊勢丹の国内既存店売上高は14%の増収を予想し、コロナ前の19年3月期と同水準を射程に入れる。「足元の4、5月は国内のお客さまに支えられ、インバウンド売り上げがほぼない状況でも18年の水準を上回って推移している。このペースを続ければ達成不可能な目標ではないはずだ」。