「マーク BY マーク ジェイコブス(MARC BY MARC JACOBS)」や「カルバン・クライン ジーンズ(CALVIN KLEIN JEANS)」などを手がけてきたルエラ・バートリー(Luella Bartley)が、ファッションデザイナーから芸術家に転向した。同じくデザイナーからアーティストに転向したサラ・バーマン(Sara Berman)と共催する展覧会「Armoured」は6月11日まで、ロンドンのKHギャラリーで開かれている。2人のアーティストは彫刻や絵画などを通して、ファッションデザイナーだった頃と変わらず、女性の体の曲線美や複雑さなどに迫っている。バーマンの作品がカラフルなのに対し、バートリーのアプローチは硬質的だ。純白の彫刻は手足が奇妙な方向に折りたたまれ、裸の女性を描いた作品ではプロポーションを誇張。バーマンが洋服をまとった女性を描いたのに対し、バートリーは裸の女性と向き合っている。米「WWD」が、バートリーに話を聞いた。
米「WWD」(以下、WWD):芸術活動を始めたのは、いつ頃?
ルエラ・バートリー(以下、バートリー):ファッション界を離れてしばらくしてから、です。仕事を休んですぐ、「私は、止まることができないんだ」と感じました。そして「何かを描いて、言語化できない思いを探ってみたい」という衝動に駆られました。だから描いて、描いて、描いて。誰かに見せる予定なんてないのに、創作意欲が爆発したんです。とても自然な流れで、結果、良い方向につながったと思っています。
WWD:自分をどんなアーティストだと思っている?
バートリー:私のアプローチは、「自分と格闘すること」。ドローイングは鋭い鉛筆と、まるで刀の様なブラシで描いています。一方の彫刻は、石膏です。
WWD:ファッションデザイナーとしてのキャリアは、今の創作活動にも役立っている?
バートリー:ファッション業界にいた頃から、私はずっと「女性と、彼女たちの体への意識、セクシャリティ、そしてフェミニニティ」について考えてきました。でもファッションの世界では、イメージが先行していた。それは仮面の様なもので、意識は常に体の外側にあったんです。でも今は、私自身が全てをさらけ出し、ありのままの、裸の、何にも覆われていない「女性と、彼女たちの体への意識、セクシャリティ、そしてフェミニニティ」について考えています。それは繊細ながら勇敢で、とても興味深いんです。仮面を考えていたデザイナーだった頃と比較すると、今は内臓にも興味を向けている感じです。
WWD:今後、ファッション業界にカムバックする可能性は?
バートリー:すぐに戻ることはないでしょう。今は、アートの世界を極めたい。今はまだ進化の途中だと思っています。探索したいことが、まだまだたくさんありますから。