ユニクロというと、エアリズムやヒートテック、ウルトラライトダウンなど、定番品に強いというイメージを抱く人が多いだろう。定番品ゆえ、去年、一昨年と同じ商品を売っていると考えている人もいるかもしれない。しかし、実は定番品こそ売り続けるには細かな修正や改善が求められる。その修正・改善のためにユニクロが強化しているのが、同社がボイス・オブ・カスタマー(VOC)と呼ぶ「客の声を起点にした服作り」だ。カスタマーセンターに集まる膨大なメールや電話、ECサイトのレビューを分析し、商品の改善や新規開発に生かしている。ユニクロの中でも、特にVOCに注力し成果を出しているというウィメンズインナーチームを取材し、VOCが実際にどう機能しているのかに迫った。(この記事はWWDジャパン2022年5月9日号からの抜粋に加筆をしています)
ユニクロのカスタマーセンターは、山口本社と東京・有明本部4階の2カ所にある。山口本社のセンターは所属スタッフ120人規模。21年4月に新設された有明本部のセンターは60人規模で、この2カ所に日本だけでなく世界各国からの客の声が集まる。“情報製造小売業”を目指すユニクロにとって、核となる施設の一つだ。
センターに集まった膨大な客の声は、社内の関係各所に毎日共有される。MDやデザイナー、パタンナーらで構成される商品本部の元に届くのは朝7時だ。ウィメンズインナー部門では、炬口佳乃子ユニクログローバル商品本部ウィメンズMD部部長が専用フォームから客の声一つ一つに回答を記入するが、届く声にはチーム全員が目を通している。「いただく声の数はインナー部門では1日30〜50件。週末をまたぐと100件近い」と炬口部長。また、ECサイトのレビューもメンバー各自がチェック。そのように集まった声の中に気になる傾向が見つかれば適宜会議を開き、必要に応じて即座に修正をかけるべく動く。これがVOCの流れだ。
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