ユナイテッドアローズ(以下、UA)は、営業赤字が続く子会社コーエンの建て直しを図る。4月1日付けで新社長にUA取締役専務執行役員COOの木村竜哉氏が就任し、「ブランディングの再定義」「MD改革」「DX推進」を3本柱に黒字化を目指す。
「コーエン(COEN)」は、同社が「ニュートレンドマーケット」と定義する、値頃感があり、ファッション感度の高いマーケットに向けたブランドとしてファストファッションブームただ中の2008年に始動。イオンモールを中心に出店した後、都市部や地方・郊外のショッピングセンターにも拡大した。22年1月期末現在で87店舗を展開する。2022年1月期の売上高は、前期比3.7%減、前々期比23.8%減の104億円だった。前期のEC販売比率は4割を超えるが、実店舗のマイナスを補うまでには至らなかった。
5月11日に開かれたUA22年3月期決算会見で木村社長は、ターゲット層が団塊ジュニア世代から若年層までに広がり、ブランドの定義が曖昧になっていたことや、ボリュームマーケットを意識し価格帯を下げすぎたこと、在庫効率を追求して品番数を減らしすぎたことなどを苦戦要因に挙げた。これを踏まえ、ブランディングの明確化に取り組み、MD面ではスタイリング提案を念頭に置いて商品力を強化していく。また、「ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)」同様に自社ECのリニューアルも予定している。
木村社長は、「ニュートレンドマーケットは引き続き成長市場であると認識している。全国各地に多数の店舗資産を持つこと、UAグループの持つブランドバリューが活用できることといった競合他社にも新興のD2Cブランドにも持ちえないバリューを生かすことで、コーエンならではの付加価値を持たせた事業展開ができると考えている。まずは当たり前を徹底して将来的にはニュートレンドマーケットの幅広いニーズ、テイストの違いを踏まえ、複数ブランドの展開による成長も検討していきたい」と話した。