アンダーアーマー(UNDER ARMOUR)は、パトリック・フリスク(Patrik Frisk)社長兼最高経営責任者(CEO)が6月1日付で退任することを発表した。同氏は9月1日までアドバイザーとして同社に残る。後任は未定で、当面はコリン・ブラウン(Colin Browne)最高執行責任者(COO)が暫定的に社長兼CEOを務める。
フリスク社長兼CEOは、2017年7月に社長兼COOとしてアンダーアーマーに入社。創業者であるケビン・プランク(Kevin Plank)前社長兼CEOがエグゼクティブチェアマン兼ブランドチーフに就任したことに伴い、20年1月に現職に昇格した。アンダーアーマーに加わる前は、シューズとアクセサリーをグローバルに展開するアルド・グループ(ALDO GROUP)で CEOを務めていた。それ以前は、VFコープ(VF CORP)が擁する「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「ティンバーランド(TIMBERLAND)」「ヴァンズ(VANS)」などで要職を歴任した。
1996年に設立されたアンダーアーマーは、2005年に米ナスダック(NASDAQ)に上場するなど急成長を遂げたものの次第に失速し、17年に赤字転落。フリスク社長兼CEOの指揮の下、人員削減、卸先の整理、調達先の変更、スポーツウエアとフットウエアへの集中などを含む5カ年の再建計画を実施し、21年12月通期の売上高は前期比27.0%増の56億8346万ドル(約7331億円)、純損益は前年の5億4917万ドル(約708億円)の赤字から3億6006万ドル(約464億円)の黒字となった。
四半期ベースで見ると、22年1〜3月期は売上高が前年同期比3.4%増の13億ドル(約1677億円)、純損益は前年の7775万ドル(約100億円)の黒字から5961万ドル(約76億円)の赤字となっているが、フリスク社長兼CEOの退任はこうした結果によるものではなく、再建計画の終了に伴うものだとプランク=エグゼクティブチェアマン兼ブランドチーフは説明した。
同氏は、「パトリックの揺るぎないリーダーシップのおかげで、アンダーアーマーの事業基盤をしっかりと立て直すことができた。“攻め”に転じ、次の成長戦略を実行する時が来たと考えている。パトリックの後任を社内外で検討する間は、経験豊富なコリンが暫定社長兼CEOとして当社を率いていく」と語った。
フリスク社長兼CEOは、「アンダーアーマーで、アスリートや顧客、株主、チームメイトのために働くことができて非常に光栄だったし、チームとして成し遂げたことの数々を大変誇らしく思っている。オペレーションを改善すると同時に、このアイコニックなブランドを強化することができた。コリンはアンダーアーマーや業界を深く理解しているので、シームレスに移行できるものと確信している」と述べた。