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フィナーレに登場したデザイナー2人の表情はいたって真面目だが、客席にはニコニコ、クスクスとした笑顔が溢れる。オートクチュールに専念して3シーズン目。「ヴィクター&ロルフ(VIKTOR&ROLF)」はウエアラブル・アート=着て歩く芸術という概念を進化させ、今回は洋服と彫刻をひとつにした。
真っ白なポロシャツなどと融合しているのは、布でできた顔。しかも唇がズレていたり、顔が極端に長かったり丸かったりと、笑いの要素を含んでいる。福笑いかはたまた岡本太郎の太陽の塔か。いずれにしてもシュールで笑いを誘う。
スポンジのようにも見える“彫刻”の素材は、真っ白なテクニカルピケで、あくまで着ることを前提に作られている。汚れや傷に見える装飾は手作業であえて加えたものだ。足元に「ドクターマーチン」の靴を合わせるスタイリングもアートをリアルに落とし込むことに一役を買っている。
服と“顔”はせめぎ合い、後半に向けては“顔”が服やモデルの顔を覆って巨大化してゆく。彫刻を着ていた人間が彫刻へと変わってゆくとは言葉にすれば恐ろしいストーリーだが、フィナーレに漂ったのは平和で温かな空気。“彫刻の顔”と人間が手をつないで行進したからかもしれない。
また今シーズンは、同コレクションからインスパイアされたカプセルコレクションを発売し、1月30日からラグジュアリー・ブランドを中心としたeコマースサイト・モーダオペランディでプレオーダーを受け付ける。アイテムは、白のテクニカルピケのポロドレス、チュニック、ポロシャツの3アイテム。
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