毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2022年7月4日号からの抜粋です)
横山:今回の表紙では繊維商社全8社のサンプルや自社ブランド製品を組み合わせて撮影するという試みに挑戦しました。「繊維商社はアパレルに密接に関わっている」というのを表現したくて。バラバラの服を1つのビジュアルに落とし込むのはすごく難易度が高かったですが、クリエイターの力でいいものができました。
村上:横山さんの繊維商社への愛を感じます。取材では何が印象に残りました?
横山:MNインターファッションの木原伸一社長の「日本のアパレル産業はこの30年間、ずっと安い生産地を求め価格を下げることしかしてこなかった。しかし、ファッションは付加価値産業。物価高を産業全体の構造改革のきっかけにしたい」というコメントが印象深かったです。また、ユニクロの秋冬物の値上げ発表は歓迎の声も多かった一方、「本当は今年の春夏物もコストは上がっていた」という本音もありました。
村上:これまでのアパレルメーカー優位という関係性は変わりそうでしょうか?
横山:産業全体で供給過多なので、繊維商社も合従連衡が進んでいます。これまでは過当競争で価格を抑えてきましたが、このコロナ禍で限界です。「採算割れの取引はしない」となってきています。
村上:そうあるべきだと思います。
横山:小売企業が過去最高益なのに、そのサプライヤーが赤字では健全と言えません。トヨタのように仕入れ先と一緒に共存共栄できる仕組みが今後は必要だと思いました。
村上:繊維商社は今、新しいことに果敢にチャレンジしている印象を受けます。最新事情に勉強熱心だし、積極的ですよ。
横山:とにかくフットワークが軽いんです。あるスタートアップ企業の社長が言っていましたが、リリースを出すと、最初に営業に来るのは繊維商社だそうです。このコロナ禍でDX(デジタルトランスフォーメーション)が進みましたが、逆にいうと、商社もこれまで受注を取ることばかりに注力してしまっていた。産業全体のバランスを考えると、資金力もあって優秀な人材を抱える商社が業界をリードしてもいいはず。繊維商社が変われば、業界は間違いなく活性化するので期待しています。