「WWDJAPAN」は先般、編集部員が展示会を回って撮影・セレクトした、ファッションビルやSC、百貨店、セレクトショップ向け総勢32ブランドの2022-23年秋冬ルックを、ウェブで公開した。「リアルトレンド総選挙」と題してユーザーからの投票を募った結果、ファッションラバーの「これかわいい!」の1票から、プロ目線での「これは売れる!」の1票まで、さまざまな視点での意見が集まった。この連載ではその上位ブランドを発表する。
アパレルブランドの同質化が言われる昨今。隣を見て売れ筋を追い続けるばかりでは、業界は魅力を失う一方だ。そうならないために必要なのは、それぞれの「らしさ」を磨き、独自性のある打ち出しをするブランドが増えていくこと。ゆくゆくは業界全体にそういったムードが生まれる一助になればとの思いで、今回の特集を企画した。(この記事はWWDジャパン2022年6月27日号からの抜粋です)
32ブランドの中で1位となったのは、アルページュが2020年春夏に開始した「カデュネ(CADUNE)」。中心顧客層である30〜40代に加え、20代の支持も集めた。ファッションがトレンドを追うことにはコロナ禍以前からマイナスイメージがあり、業界はやや委縮しているが、野口麻衣子アルページュ社長は「ファッションはトレンドを取り入れてこそ前進する」と強調する。
1位 CADUNE
保守的になりすぎると停滞する
トレンドにも躊躇なく挑戦を
WWD:コロナ禍中にブランドを立ち上げた。現状の手応えは?
野口麻衣子アルページュ社長(以下、野口):年齢を重ねる中で、女性は気分が乗っているときとそうでないときの差が激しいと感じる機会が増えた。だからこそ、ファッションにも助けを求めたい。コロナ禍で不安を抱える人も増えているが、すてきな服を身にまとうことで気持ちが楽になることもある。洋服屋として、心に寄り添えるブランドを作りたい。30〜40代が対象の中心だが、大人だってトレンドを取り入れた服も着たいはず。そんなふうに作っていたら、ふたを開けたら20代のお客さまもついてきた。2022年春夏は、予算通りの進捗だ。
WWD:22-23年秋冬物は、どんな考え方で企画している?
野口:外出機会が増え、デザイン性の高いもの、着ていて楽しくなるものがより求められるようになると考えている。自身のワードローブを見て、着倒してきたものばかりだったら気分も盛り上がらない。だからこそ新しいデザインを提案していく。筆頭はクロップド丈のトップスやアウターだ。先日ミニスカートをはいて出社したら、「社長、今日はミニですね」と社内の会話にもつながって楽しかったし、気分も前向きになった。お客さまにも、どんどん新しいものに挑戦していってほしい。
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