西武百貨店会長やミレニアムリテイリング(現そごう・西武)会長を歴任した和田繁明氏が、7月25日に病死していたことが発表された。88歳だった。和田氏は2000年代の百貨店再編の先駆けとなる西武百貨店とそごうの経営統合を実現させ、のちのセブン&アイ・ホールディングス入りを主導した。そごう・西武の売却交渉が進む中、生みの親である和田氏はそれを見届けることはできなかった。
1957年に西武百貨店に入社し、めきめきと頭角を現し、35歳の若さで取締役に就任。セゾングループのレストラン西武社長、吉野家ディー・アンド・シー会長を経て、92年に西武百貨店に戻って会長に就任した。経営難に陥っていた西武百貨店の組織体質を徹底批判する「西武百貨店白書」をまとめ、業務改革を断行して黒字化に導いた。セゾングループのオーナーである堤清二氏らとの確執によって、99年に退任に追い込まれた。
しかし強いリーダーシップで改革を実行する手腕が評価され、再び表舞台に復帰する。2000年に経営破綻したそごうの再建を託され、01年に十合(そごう)社長に就く。03年に民事再生法の再建手続きを終了した十合と、古巣の西武百貨店を統合してミレニアムリテイリングを発足させた。さらに経営基盤を安定させるため、06年にセブン&アイの傘下に入った。そごう・西武としての再スタートにめどをつけると、07年には経営の第一線を退いた。
和田氏が先鞭をつけた大手百貨店の再編は、その後の大丸と松坂屋、三越と伊勢丹、阪急百貨店と阪神百貨店の経営統合につながった。