東南アジアで成長中のシンガポール発ウィメンズウエアブランド「ラブボニート(LOVE,BONITO)」は8月17〜31日、日本初出店となるポップアップストアをアトレ恵比寿4階にオープンした。来日したディオーン・ソン(Dione Song)最高経営責任者は、「ポップアップストアの出店はブランドにとって大きな一歩だ。2週間の中で、日本の生活者のニーズをより深いレベルで理解し、新しいコミュニティーを築くきっかけを作りたい。アジア人女性のためにあるブランドの魅力を伝える機会となるはずだ」とコメントした。
日本進出企業として「ラブボニート」がシンガポール政府からの支援を受けていることから、ピーター・タン(Peter Tan)駐日シンガポール大使もポップアップに駆けつけ、「日本とシンガポールは親密に関わりを深めており、この度『ラブボニート』が出店をかなえたのはとてもうれしいこと。シンガポールのほかのスタートアップ企業にとっても、日本市場への興味関心の高さを反映する良い前例となっていくだろう」と語った。
「ラブ ボニート」は、2010年にシンガポールで誕生。現在、シンガポールのほかにマレーシアや香港、インドネシア、カンボジア、アメリカなどで販売しており、実店舗はフランチャイズを含め19店がある。日本には、18年2月にカカクコムからの出資を受けて進出。その後21年10月にアダストリアも資本参加し、日本公式サイトも開設した。22年4月にアダストリアの自社ブランドを集めたECモール「ドットエスティ(.st)」に出店、今回のポップアップストア出店と合わせて、「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」でも17日から取り扱いを開始した。
日本では昨年以来SNSマーケティングに力を入れているといい、特にTikTokで“モリーハイウエストストレートパンツ”(税込5980円)の紹介動画がヒットしている。「公式ECの訪問者数は22年年初から8月までで15倍に成長した」と岡田朋子ラブボニートジャパン社長は話す。今回のポップアップストアでは、同パンツのほかに、日本の客から反応がいいというオフィスシーン向け商品の品ぞろえを強化している。ポップアップストアは今後も積極的に出店し、ゆくゆくは日本での実店舗出店も目指す。
ソンCEOはブランドを通して、「女性が自信を持って、自分の人生や夢に向かって挑戦する力を抱ける世界」を作ること目標に掲げる。女性のライフスタイルに寄り添ったアイテムや、アジアにルーツを持っていたり、アジア圏で生活をする女性のニーズに応えるデザインに特化する。日本にはファッションブランドが無数にあり、市場環境も厳しいが「日本には明確に女性のエンパワーメントを掲げるブランドは多くない。日本は女性リーダーも少ないし、『ラブ ボニート』の考え方を伝えていきたい」と話す。
女性のエンパワーメントの一環として、ファッションを通したコミュニティーおよび環境の構築に注力しているといい、会員特典などを盛り込んだ“LB コミュニティー プラス(LB Community +)”と題したメンバーシッププログラムや、コラボや企画を通して社会貢献につなげる“LB クリエイト(LB Create)”などを運営するほか、自社SNSを通して起業家やインフルエンサーといった影響力のある女性にインタビューしてロールモデルとして発信する。“LB クリエイト”では米玩具メーカーのマテル(MATTEL)とコラボし、アジア人女性をモデルにしたバービー人形を開発。教育を通して社会で活躍する後押しを目標としている。