ファッション

キャサリン妃の装いから読み解く夏の上品ワンピース術 元バイヤーの経験を生かした着こなし

 暑い日が続く夏には、涼しげなワンピースが着たくなります。気品漂う世界の王室関係者たちも、公の場でたびたびまとっているアイテムです。ロイヤルメンバーの中でも、英国のケンブリッジ公爵夫人、ケイト・ミドルトン(Duchess of Cambridge, Kate Middleton以下、キャサリン妃)の着こなし方は特に多彩でエレガント。独身時代にファッション業界でバイヤー経験を持つだけに、プチプラからラグジュアリーまでを自在に着こしています。しかも何シーズンにもわたる着回しや、場面に応じたムードチェンジも上手です。今回は、キャサリン妃のおしゃれなノウハウから、上品なワンピース術を読み解いていきます。

 たとえば、6月に開催されたロイヤルアスコット(Royal Ascot、格式の高い英国アスコット競馬場での社交イベント)で、キャサリン妃はロンドン発「アレッサンドラ リッチ(ALESSANDRA RICH)」の総ドット柄のワンピースに身を包みました。清潔感の高い白をベースに、黒の小ぶりなドットが涼やかです。長袖で首周りが開いていないデザインなので、ロイヤルらしいたたずまいが保たれています。スカーフ風の飾り布がアシンメトリーにたなびいて優美な印象です。ウエストは共布ベルトできれいにマーク。水玉のドレスはウィリアム王子(Duke of Cambridge, Prince William,)の亡き母、ダイアナ(Diana)元妃をほうふつとさせます。王室の大事な催しに、大切な思い出をまとうかのような装いも、タイムレスなファッション表現です。

ノースリーブはコンパクトなネックラインで品格をキープ

 ポロ試合を観戦したキャサリン妃は、ロンドン・コレクションにも参加する英国ブランド「エミリア ウィックステッド(EMILIA WICKSTEAD)」の白いワンピースを着用。両腕が見えるノースリーブでも品格を保っているのは、ネックラインが詰まっているからです。

 ふくらはぎが隠れる上品なミモレ丈に、ウエストがわずかに絞られた、メリハリの利いたシルエット。縦に走る黒のパイピングがシャープさを際立たせています。凛とした爽やかムードがスポーツ観戦にぴったりです。このイベントはチャリティーだったため、自分が目立ち過ぎない控えめなスタンスを、ホワイト主体の高貴な出で立ちで静かに示しているのです。

優しげなシフォンと袖コンシャスのトレンドミックス

 ホームレス支援施設を訪れた日は、シフォン風の柔らかい素材で仕立てたワンピースをまといました。施設の人たちに寄り添うかのように優しげな雰囲気の装いが、来訪の目的とマッチしています。自分の役割や、受ける視線にしっかり配慮した服選びは参考になります。柄ワンピースでも、このような細かい抽象的なモチーフであれば、主張は控えめにとどめつつ、明るい印象に映ります。袖はふんわりと膨らんだベルスリーブで、二の腕を隠しながらも涼やか。トレンドの袖コンシャスとシアー感覚を交わらせました。

“大人チャーミング”な秘訣はシルエットにあり

 チョコレートの原料、カカオを育てている農場を訪ねたキャサリン妃がまとうのは、ニューヨークブランド「トリー バーチ(TORY BURCH)」のワンピースです。南国にふさわしい鮮やかなブルーで、現地に合わせた植物柄がナチュラルなムードです。大人かわいい印象のパフスリーブに、スクエアネックでクリーンに肌見せ。上半身にだけシャーリングを施し、ビスチェを着ているかのようなフィット感と起伏が両立しています。このようなフィット&フレアシルエットの柄ワンピースは、上品でチャーミングなムードを演出してくれるので、バケーションなどにもぴったりです。

フォーマルでデコルテ魅せ、ヘアは自然なスタイルに

 レッドカーペットと呼ばれる、著名人が集まる晴れ舞台には、キャサリン妃もしっかりドレスアップして出席しています。ロンドンで開催された、映画「トップガン マーヴェリック(Top Gun: Maverick)」のプレミア上映会でキャサリン妃が選んだのは、黒主体のオフショルダードレス。御用達のロンドンブランド「ローラン ムレ(ROLAND MOURET)」のもので、決め手はデコルテラインを横に走るホワイトのパーツです。黒ベースとのコントラストがくっきり際立ち、品格を感じさせます。

 靴は「プラダ(PRADA)」のパンプスで、手には英国ブランドを代表する「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」のクラッチバッグ。さらにロンドン発「ロビンソン ペラム(ROBINSON PELHAM)」のジュエリーをコーディネートし、地元ロンドンのブランドを発信するミッションもきちんとこなしています。ウィリアム王子は黒の正装で抜かりなくエスコート役を務めました。

 オフショルダーのロングドレスでも白の横線がスマートで、顔周りを明るく見せつつ、清楚な風情にあふれています。髪をあえてアップにせず、デコルテ周りをカムフラージュ。フォーマルすぎない自然体なコーディネートが参考になります。ドレスアップするときは、ヘアスタイルまで気張りすぎないほうがリラックス感あるエレガンスを表現できます。

 このように、それぞれのシーンや立場にふさわしいワンピースを的確に選ぶ目利き力がキャサリン妃流スタイリングの特徴です。王室のコード(約束事)を守りながらも、型にはまりすぎないさじ加減は、ファッション業界でキャリアを重ねた経験値の高さゆえ。素肌の見せ加減やレングス(着丈)の選び方など、私たちが着こなしの参考にできそうなテクニックがいくつも見つかりました。適度な抜け感と気品のバランスや、“大人チャーミング”な味付け、タイムレスなムードづくりなどの面でも、キャサリン妃の装いはまたとないお手本と言えるでしょう。

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