齋藤牧里afumi inc.代表取締役が8月26日に肝臓癌のため逝去した。63歳だった。「グッチ(GUCCI)」と「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」で25年間にわたってPRを務め、日本における両ブランドの躍進を支えた立役者の1人。圧倒的に本国が主導権を握る海外ラグジュアリーブランドPRにおいて、ローカルの独自性確立や権限獲得に寄与した。
齋藤氏は1959年生まれ、東京都出身。国際キリスト教大学卒業。アルファキュービック、ジャーディンマセソンを経て、91年からグッチ ジャパンでPRを務め、98年にルイ・ヴィトン ジャパンにPRディレクターとして入社。マーク・ジェイコブスを起用してプレタポルテを開始した「ルイ・ヴィトン」を、さまざまなイベントや取り組みで日本に浸透させた。2011年にルイ・ヴィトン表参道店の7階にオープンしたアート・スペース「エスパス・ルイ・ヴィトン」、14年10月にパリにオープンした「フォンダシオン・ルイ・ヴィトン」もオープン以来PRを担当した。
16年にafumi inc.を設立。LVMH本体をはじめ、傘下の「ルイ・ヴィトン」や「ベルルッティ(BERLUTI)」「ロロ・ピアーナ(LORO PIANA)」、藤原ヒロシ率いる「フラグメント デザイン(FRAGMENT DESIGN)」、「ユイマ ナカザト」などのファッション関連だけでなく、アートやギャラリー関連のクライアントも抱え、幅広く活躍した。
02年のルイ・ヴィトン表参道店のオープニングパーティーは齋藤氏率いる日本サイドによる提案が通り、“スパイスロード”テーマにエキゾチックな日本までの旅のストーリーを絵画館を会場に表現。館内に砂漠が再現され、ラクダが歩くという空間に、来場者はド肝を抜かれ、来日した本国の幹部も満足そうだった。
なお、葬儀は家族で執り行い、後日偲ぶ会を予定しているという。