ロレアル(L'OREAL)傘下のコスメブランド「メイベリン ニューヨーク(MAYBELLINE NEW YORK)」は、中国市場における販売方法をオンラインとオフラインのミックスからオンラインのみに移行する。競合するCブランドが台頭する中、プレステージカテゴリーに注力する。
「メイベリン ニューヨーク」は現在、ECのTモール(TMALL)やJDドットコム(JD.COM)に加え、大手ドラッグチェーンのワトソンズ(Watsons)や現地化粧品店などを含む約1万の実店舗で販売している。地元メディアによると、業績不振の店舗やリース契約が終了する店舗から順次閉鎖するという。同ブランドはすでにスーパーマーケットからは2018年、百貨店からは20年に撤退している。
市場調査会社によると、中国市場における同ブランドの市場シェアは、18年の10.7%から昨年は4.9%に落ち込んだ。一方、地元中国コスメの「フローラシス(FLORASIS、花西子)」は6.8%、「パーフェクトダイアリー(PERFECT DIARY、完美日記」は6.4%を占め、中国で今最も人気のある2大ブランドとなっている。
ロレアルで「メイベリン ニューヨーク」を擁するコンシューマープロダクツ事業本部の21年度の売上高は、前年同期比4.5%増の122億3000万ユーロ(約1兆6755億円)だったのに対し、リュクス事業本部は同21.3%増の123億5000万ユーロ(約1兆6919億円)を記録し同社最大のカテゴリーとなった。そのため、中国市場で全店舗を閉鎖する一方、ラグジュアリースキンケアブランドの「カリタ(CARITA)」を年内に南京と北京にオープンする予定だ。
同社は米「WWD」に、「20年以降、中国市場において消費者の変化に適応するため、オンラインとオフラインを掛け合わせた販売戦略へ変革してきた。これらが消費者に多様でインタラクティブなショッピング体験をもたらし、22年の第2四半期にはオンライン市場におけるシェアが拡大できた」とコメント。
「メイベリン ニューヨーク」は、1996年にロレアルが買収し、97年に中国市場に参入した。スーパーマーケットや百貨店などの実店舗をメインに展開し、マス市場におけるキープレーヤーとなった。近年は中国で急速に成長するeコマースやCビューティブランドの台頭により苦戦していた。