1968年にイタリア・ミラノで創業したエトロ(ETRO)は今、変革の時を迎えている。長らく一族経営を続け、ブランドの現代化にも取り組んできたが、2021年7月にLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)系の投資会社であるLキャタルトン(L CATTERTON)が株式の60%を取得。同年12月に、ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)やダンヒル(DUNHILL)などで要職を務めたファブリッツィオ・カルディナリ(Fabrizio Cardinali)最高経営責任者(CEO)が就任した。一方、創業ファミリーが務めてきたクリエイティブ・ディレクターにも、22年6月にイタリア人デザイナーのマルコ・デ・ヴィンチェンツォ(Marco De Vincenzo)が着任。9月23日のデビューコレクション披露に向けて準備を進めているところだ。ビジネスとクリエイションの両面で未来に向けた改革を加速させる同ブランドの戦略を、カルディナリ新CEOに聞いた。
「エトロ」の現在のコアビジネスは、レディ・トゥ・ウエアであり、売り上げの65%をウィメンズが占め、メンズも急速な成長を見せているという。ただ、カルディナリCEOは今後、バッグをはじめとするアクセサリーの大幅な強化を図る。理想的な売上構成比についてはコメントを控えたが、「フェンディ(FENDI)」のアクセサリーチームで才能を発揮し、今もコンサルタントとして関わり続けているデ・ヴィンチェンツォへの期待は大きい。「彼にはレザーグッズとアクセサリーの確かな実績がある。クオリティー面でも、市場への浸透という点でも、ビジネス規模においても、アクセサリービジネスはこれから大きな発展を遂げるだろう。現在もレザーグッズをラインアップしているが、ウエアのポジショニングとは一致していない。そのため、ウエアは『エトロ』で買うが、バッグは他のラグジュアリーブランドで購入するという顧客が大半だ。しかし、マルコが手がけることによって、どちらも『エトロ』を選ぶ方が増えると確信している。デビューショーを見てもらえれば、ブランドがこれから向かう方向がよく分かるだろう」。ショーでは23年春夏ウィメンズに加え、発表直後から販売するアーカイブ生地をアップサイクルしたカプセルコレクションも披露するという。
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