「ジーユー(GU)」は、2022-23年秋冬物の主力商品の価格を据え置くと発表した。「景気がよくなっていない中で物価は上がっている。値上げする商品はごく一部のみとし、多くは据え置き、一部は値下げもしている」と柚木治ジーユー社長。兄弟ブランドの「ユニクロ(UNIQLO)」が一部商品の値上げを打ち出す中で、「ジーユー」は「旬のトレンドを買いやすく」を引き続きアピールする。
具体的な価格は、今秋冬のトレンド商品として打ち出す“ソフトリブT”が990円、発熱機能性の中綿を使った“ヒートパデットブルゾン”が3990円。定番アイテムは、機能性肌着の“スタイルヒートエクストラ”や“レギンスパンツ”が990円。「商品1点1点につき、適正な原価率を追求した上で価格を据え置いている。(一部商品は利益度外視で価格を下げ、それを別の商品で補うような)粗利ミックスの考え方ではない」という。買い上げ点数を増やすためにスタイリング提案には引き続き注力し、一部店舗で専門性のある販売員“おしゃリスタ”による接客なども強化する。
原料高や物流費高騰の中で価格を据え置くために行っていることとして、柚木社長があげたのは値引きのコントロールや品番数の絞り込み、素材や工場の集約、倉庫の自動化や拠点統廃合など。ただし、これらはファーストリテイリンググループが掲げる“有明プロジェクト”のもと、長年追求し続けてきていることでもある。「ずっと行っていることだが、この2年はコロナの影響で販売の面でも商品供給の面でも想定が崩れ、苦労した。しかし、苦労の甲斐はあって販売、供給ともにコントロールがきいてきている」。
ジーユーの21年9月〜22年5月期の売上収益(売上高に相当)は前年同期比5.1%減の1905億円、粗利益は同4.7%減の931億円、営業利益は同26.7%減の178億円と、減収、大幅な減益だった。生産や物流遅延による販売機会ロスなどが響いた。価格を据え置きながら、いかに利益を確保するかに焦点が当たっている。