「グッチ(GUCCI)」や「サンローラン(SAINT LAURENT)」を傘下に持つラグジュアリー・コングロマリットであるケリング(KERING)がビューティ市場に参入するのではないかとの憶測が広がっている。
金融大手シティ(CITI)グループの欧州ラグジュアリー・グッズ・リサーチ責任者であるトマ・ショーヴェ(Thomas Chauvet)は、「ケリングをはじめとするラグジュアリー業界は長年、所有するブランドをあらゆる面で支配しようとしている。フランチャイズから直営店への転換に始まる戦略で、ライセンスを買い戻し、マルチパートナーを合理化、百貨店でも独自のスペースを確保し自らの手でインショップを運営している。この流れは、不可逆的だ。よほど大きな買収を仕掛けない限り、ケリングは自社の株式を買い戻しながら、5年前のアイウエア同様、ビューティ事業を社内に吸収するだろう」と指摘する。
ブランド構築コンサルティング企業のEH4Bのエリック・ヘンリー(Eric Henry)社長は、「ケリングが保有するブランドの競合である『ディオール(DIOR)』『シャネル(CHANEL)』『ジバンシィ(GIVENCHY)』は、ファッションとビューティ、レザーグッズ、ジュエリーなど全てのセグメントを同じ屋根の下に置いている。その方が一貫性をもたらし、相乗効果とブランド力を確実に高めることができる」と述べる。
買い戻したアイウエア部門での成功を背景に
ケリングのジャン・フランソワ・パルー(Jean-Francois Palus)=マネージング・ディレクターは、7月末にビューティ分野に乗り出す準備が整っていると示唆した。「成功しているアイウエア部門は中長期的な売り上げ目標に20億ユーロ(約2860億円)を掲げている。現在ライセンスで展開するビューティ事業の直轄は、自然な拡大路線と言えるだろう。既存のマーケットに破壊的かもしれないが革新的にアプローチできるわれわれは、アイウエアの成功がグループに多くの価値をもたらすことを証明した。ビューティは、将来的に私たちが何らかのイニシアチブを取ることができる分野であることは間違いなく、あらゆる選択肢を視野に入れている」と語った。
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