ビューティ
連載 ファッション業界人も知るべき今週のビューティ展望 第89回

資生堂・ランコムが「美肌菌」研究の先に見るものは?

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 ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。今週は、美しい肌を作り出す“美肌菌”の話。

【賢者が選んだ注目ニュース】
資生堂が英スキンケアブランド「ガリネー」を買収
「ランコム」がスター製品“ジェニフィック”をひも解くポップアップイベント開催

 資生堂は「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」を目指し、2030年までにスキンケア領域における世界No.1企業になることを目標としている。今回買収が発表された「ガリネー」は14年創設の英国企業。製造は全てフランスで行われている。

資生堂の傘下入りした欧州の「マイクロバイオーム」ブランドとは?

 創設者のマリー・ドラゴ博士は、自身が経験した自己免疫疾患による重篤な皮膚炎をきっかけにマイクロバイオームに関心を持ち、研究を重ねてブランドの創設に至った。肌のマイクロバイオームを整えるスキンケアのほか、ヘアケア、ボディーケア、マウスウオッシュや歯磨きなどのオーラルケア、腸内環境を整えるサプリメントなど、全身のマイクロバイオームをケアするアイテムがそろう。価格はスキンケアで9〜45ユーロ(約1300〜6400円)、サプリメントで71ユーロ(約1万円)。現在は欧州を中心に世界200店舗をもち、50を超えるオンラインショップで展開されている。キーアイテムは「フェイスビネガー」というふきとりローション。ビタミンCを豊富に含むハイビスカスエキスとアップルサイダービネガーが肌表面を滑らかにしながら、プレバイオティクスがマイクロバイオームのバランスを整える。

 ブランドサイトはオンラインショップのほか読み物のコンテンツが非常に充実しており、マリー・ドラゴ博士のインタビューをはじめ、肌、頭皮、口内、腸内、デリケートゾーンなど体の内外に及ぶさまざまなマイクロバイオームについて理解を深めることができる。ユーチューブやインスタグラム、TikTokなど各種SNSに幅広く公式アカウントをもち、積極的に情報発信を行っている点にも注目したい。

 「美肌菌」とは一般的に、皮膚表面の常在菌叢=マイクロバイオームを構成する多種多様な常在菌のうち、汗や皮脂をエサに肌の潤い成分となるグリセリンを生成する表皮ブドウ球菌を指す。皮膚のマイクロバイオームは体調・外的環境などさまざまな要因で変化し、バランスが乱れることでニキビや肌荒れなどのトラブルを引き起こす。皮膚のマイクロバイオームを「美肌菌」優位の環境にスキンケアによって整えることが「美肌菌ケア」の基本だ。

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