「イッセイ ミヤケ」は9月30日、パリで発表した2023年春夏コレクションで100%植物由来のポリエステルを用いたウエアを披露した。この繊維は東レが開発したもので、現在ラボレベルで生産されている。ファッション衣料用途としては世界初。「イッセイ ミヤケ」は長年東レと提携しており、これまでも開発中の繊維を用いてきている。今回発表されたウエアは商品化されるが限定生産の予定。「未来につながる循環や再生」を表現したという今回のウエアは、生地を折り、部分的に円形のハンドプリーツ加工を施した。
東レはかねてから100%植物由来のポリエステル繊維の量産に向けて取り組んでおり、2019年の段階でラボレベルでの生産に成功している。今回、少量生産ながら「物性面もきちんと確認したうえで提供できる量に至った」(東レ広報担当者)という。
ポリエステルはエチレングリコールとテレフタル酸で構成されており、エチレングリコールはすでに植物由来の原料で量産可能である。一方、植物由来のテレフタル酸の生成は非常にハードルが高く、量産に向けて研究開発されている状態だ。東レは、アメリカのベンチャー企業バイレント(VIRENT)と協働して、植物由来のテレフタル酸の生成に取り組み、2020年代に量産化を目指している。