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無添加石けんで海の環境改善 シャボン玉石けんが実証実験を報告

 無添加石けんで知られるシャボン玉石けんはこのほど、福岡県宗像市地島(じのしま:玄界灘と響灘の境界部に面する周囲9.3km、人口約140人の島)で実施した「未来の海を守る 島まるごと無添加石けん生活~ 生活排水の環境及び生物に対する影響に関する実証実験プロジェクト~」の結果を発表した。これは、宗像市、九州環境管理協会、山口大学大学院創生科学研究科と合同で生活排水が環境や生物へ及ぼす影響について、洗浄剤(洗濯用、台所用、シャンプーなど)として「石けん」を使う前後でどのような変化があるのかを調査するもの。地島の一般家庭約60世帯、地島小学校、漁村留学センター「なぎさの家」で、2021年9月から11月までの3カ月間、洗浄剤に石けんを使用し、実証実験前後の水質や生物の分析を行い、生活排水による環境影響を調査した。島民へのアンケート結果では約80%以上が何らかの無添加石けん商品を使用したという。

 その結果、石けんに切り替えたことで、下水処理場から海に放流されるは、処理後の水の汚れが少なくなり、下水処理場の曝気槽(水をきれいにする施設)にいる微生物は、微生物の種類・量が増えていることが分かったという。また、汚泥状況が良好な場合に現れる菌が確認され、曝気槽水をきれいにする施設)の環境に良い影響を与えたと考えられると発表した。

 無添加石けんに限らず、合成洗剤や化学物質の安全性など洗濯が与える海洋汚染の影響の調査は難しく、同プロジェクトのような地域単位での実証実験は業界内でも珍しいといえる。”真っ白に見せる”ための添加物や“香りや肌触りのよさ”をうたった柔軟剤など合成洗剤が衣類に残ったときの影響や排水後に環境に与える影響を明らかにすることは難しい。他方で石けんも水を多く使う点や、 硬水で利用した場合、ミネラルと結び付いて石鹸カスになり洗浄力が弱まるといった課題もある。

 環境負荷を軽減したいと考えるなら、着たから洗うから汚れたから洗うへと、洗濯そのものを見直すこと、現代人にはハードルが高いが洗濯機ではなく手洗いすること、洗濯機を用いる場合は、低環境負荷の洗剤を選び、洗濯バッグを活用することが推奨される。

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