渋谷パルコが11月で建て替え3周年を迎える。3年前の建て替え開業時には、プレオープン日に業界人が7000人もの行列を作り、大きな話題となった。だが開業から半年も経たないうちにコロナ禍に見舞われ、緊急事態宣言による客足の大幅な減少やインバウンドの消滅など逆風が続いた。コロナ禍がようやく収束に向かいつつある中、来年の2023年には渋谷パルコの開業50周年という大きなイベントがある。今年度でリニューアル開業時の目標である年間売り上げ200億円の達成を見込む渋谷パルコの現在を追った。(この記事はWWDジャパン2022年10月17日号からの抜粋です)
「渋谷パルコじゃなきゃできない。渋谷パルコだからこそ出店した」と語るのは、5階にオープンしたギャラリー型の自主編集売り場「ワンスラッシュ」で、渋谷パルコと組んで大型フィギュアの販売に乗り出したデザインココの千賀淳哉・社長だ。オープン時の4月には高さ2mの大型限定フィギュアを605万円で売り出した。
わずか9坪(約33㎡)にすぎない売り場だが、この「ワンスラッシュ」は従来の売り場とは多くの点で異なる。店頭での販売はごく一部のアイテムのみで、小型も含めたフィギュアは基本的に受注生産で、実際の取引はパルコのECサイト「カエルパルコ」で行う。売り上げなどは公表していないものの、「アニメの世界観を忠実に再現し、かつ超ハイクオリティーなデザインココ社のフィギュアには熱狂的なファンも多い。実際の売り上げはかなりの金額になる」と「ワンスラッシュ」の売り場担当者は胸を張る。「ワンスラッシュ」は、ギャラリーとショールーム、さらには物販をかけ合わせた新しいタイプの売り場なのだ。千賀社長は「日本のアニメは世界でも人気が高いし、数百万円のフィギュアでもときに飛ぶように売れる。実際にこれまで多くの商業施設や企業からラブコールを受けてきたが断ってきた。フィギュアには売り上げの数字以上の価値がある、と感じていたからだ。渋谷パルコなら、アートとカルチャーを横断し、かつ海外からの目の肥えた感度の高いお客の目にも触れることができる。フィギュアの本質的な価値を上げられる。それがパルコと組んだ理由だ」という。
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