大丸松坂屋百貨店が特別協賛する美術展「artKYOTO2022(アートキョート2022)」が10月14日から16日まで京都の世界遺産・二条城で開催された。開催前日の内覧会とレセプションには、同社の外商顧客が招待された。同展は国内外のギャラリーや美術商が厳選する作品を展示・販売する目的で2019年に始まった。3回目の今回も二条城の重要文化財「二の丸御殿台所・御清所」を会場とし、普段は非公開の歴史的建造物を生かした展示空間に、国内各地から全13のギャラリーが集結した。
会場正面には、人気の現代アーティスト、野原邦彦氏のポップな木彫作品が並んだほか、建築家・隈研吾氏が手掛ける立体作品、コシノジュンコ氏のアート作品、既存の枠組みにとらわれない作風が持ち味の浜田泰介氏の日本画、100歳を超えてから制作したという篠田桃紅氏の大胆な抽象画など、幅広い作品が展示された。
今回は新進気鋭のアーティストたちのNFTアートが購入できるプラットフォーム「FAT Collection」の出展や、世界で初めてNFTアートとエンターテイメントが融合したデジタルムービー「SHIP」の予告編も特別上映された。アートキョートの総合プロデューサー、來住尚彦氏は「世界遺産というユニークベニュー(特別な場)の中でコンテンポラリーアートとデジタルアートをどう展開するかに主眼を置いた。歴史的な空間に対してアーティストたちの作品が勝負を挑んでいるような内容になっていると思う。世界のアート市場はこれからさらに拡大し、フィジカルアートとデジタルアートが7対3の割合で膨らんでいく」と話す。
前日に開かれた内覧会には、大丸松坂屋の外商顧客専用サイト「コネスリーニュ」から応募した顧客92組が来場した。48組の外商客が訪れた17時からのオープニングセレモニーでは、コシノジュンコ氏、京都市の門川大作市⻑、大丸松坂屋の澤田太郎社長らがあいさつした。作品を鑑賞するだけでなく、その背景や価格などについて熱心にたずねる招待客の姿が見られ、現代アートへの関心の高さがうかがえた。野原氏の作品をはじめ、前日だけで13作品が購入されたという。
来場者からは「二条城とアートとイベント(琴演奏、踊り)で素敵な時間を過ごすことができた」「京都が芸術の街であることをあらためて実感できた」などの声が届いており、通常のアートフェアとは異なる特別感のあるイベントに満足している様子が伝わる。翌日から大丸京都店でも新しいスタイルのアートフェア「D-art,ART KYOTO(ディアートアートキョート)」を開催。同じアーティストの作品が出品されるとあって同会場にも足を運び、じっくりと見入る顧客もいた。