横編機大手の島精機製作所の2022年4〜9月期決算は、営業損失が4億3500万円(前年同期は13億5500万円の赤字)だった。期初には4〜9月で黒字化の見通しだったが、部品不足の影響で生産が計画通りに進まなかった。島三博社長は「イタリア、トルコ、バングラデシュの設備投資意欲は高く、上期の受注残も前年同期比で約1.5倍になるなど、繊維機械への需要は回復している。部品不足の影響で、思うような営業活動ができなかった」という。
売上高は同13.3%増の179億円、経常損失は2億700万円(前年同期は8億4400万円の赤字)、純損失は5億1100万円(前期は10億6800万円の赤字)だった。主要な仕向地別の売上高は、欧州が15.2%増の52億円、トルコなどの中東向けが5.6倍の17億円、中国やバングラを含むアジア向けは2.1%増の66億円だった。トルコやバングラデシュが、欧州のエネルギー高騰に伴う生産移転で旺盛な需要を見せたものの、中国・香港がロックダウンの影響で受注が急減、アジアではやや伸び悩んだ。
製品別では横編機が3441台(前年同期は1969台)、内ホールガーメント機が297台(同509台)だった。ホールガーメント機の急減は、中国国内向けに高級ニットを販売する企業がロックダウンの影響で受注が止まったという。
通期では売上高445億円、営業利益10億円、経常利益16億円、純利益8億円と、19年3月期以来の黒字化を計画する。懸念材料である部品不足に関して「不足している状況は上期と大きく変わっていないものの、部品サプライヤーから前向きな見通しを得ることが増えてきた。『ホールガーメント』機の意欲的な新機種も発表したし、世界的な需要環境は全体的に好転している。完全に払拭できるのは来年以降になりそうだが、部品や在庫を厚めにしても受注を優先的に取っていく」(島社長)という。