主要百貨店5社の2022年10月度業績は、おしなべて1〜2割の増収だった。10月11日以降は、政府による外国人観光客の水際対策が緩和。インバウンド消費の主役だった中国のゼロコロナ政策継続により、プラス影響は限定的ではあるものの、都心の大型店などでは押し上げ効果がみられる。
各百貨店の前年同月と比較した売上高は、三越伊勢丹が25.1%増(19年同月比33.4%増)、高島屋が14.7%増(同21.8%増)、そごう・西武が10.9%増(同18.2%増)、大丸松坂屋百貨店が12.6%増(同14.8%増)、阪急阪神百貨店が20.1%増(同21.0%増)。19年実績との比較については、同年10月が消費増税直後だったため、その反動増となった。
三越伊勢丹の伊勢丹新宿本店は、売上高が19年同月比で約1.5倍増。好業績には免税客の増加が貢献した。10月の免税売上高は19年同月との比較で11%減と、コロナ前の9割程度の水準まで回復した。「韓国、香港、台湾を中心に、(水際対策が緩和された)11日以降は外国人のお客さまがかなり戻ってきている」と同社広報。これを受け、近くコロナ禍で縮小していた本館6階の免税カウンターを拡大する。
ただし都心の一部店舗を除けば、水際対策緩和の恩恵は未だ限定的だ。阪急本店も免税売り上げは前年同月比では4倍だが、「コロナ前にはまだまだ及ばない水準」と同社広報。高島屋の免税売上高は19年同月比34.1%減、大丸松坂屋は同58.5%減にとどまった。