「バレンシアガ(BALENCIAGA)」はこのほど、キノコの菌糸から作られるマッシュルームレザー「エッファ(EPHEA)」を用いたマキシフーデッドコートを発売した。全世界23点限定で日本では青山店が1点取り扱い、価格は143万9900円。
「エッファ」について「バレンシアガ」チームは、「純粋な菌糸体で作られた今までに類を見ないレベルのバイオ加工素材で、(合成物質との)ハイブリッド素材ではないため、成長プロセスで汚染化学物質の使用がない」といい、「独自の発酵プロセスに基づき、再現可能で、色や密度、組成、厚さなどの均一性を可能にした」と加える。
マッシュルームレザーは、低環境負荷かつ動物の権利を守ることができるとして、皮革の代替素材として世界中で開発が活発化している。現在開発されているマッシュルームレザーの多くは、キノコ類の菌糸を培養して生産する菌糸体をベースに、石油由来の合成物質などを加えてしっとりとした柔らかさやしなやかさを実現している。合成物質を用いない場合、乾燥すると皮革のようなしなやかさはなくなり、亀裂が入るなどの課題があった。また、菌糸体の生産において、色や密度、組成や厚さの均一性を保つのは難しい。「エッファ」は「特に厚みと均質性においてこのような高水準を実現したのも初めて」だと胸を張る。生産工程では農産工業残留物を活用して最小限の資源を使用し、微量のCO2を排出しつつも、毒性物質を使わずに仕上げられている。
「エッファ」はイタリア・イナルツォ拠点のスタートアップ企業SQIMと「バレンシアガ」、その親会社ケリング(Kering)となめし工房の1年以上にわたる協働で生まれた。
ケリングのジェラルディン・ヴァレジョ(Geraldine Vallejo)=サステナビリティ・プログラム・ディレクターは「イノベーションと受け継がれてきた技術を組み合わせ、そして『バレンシアガ』との幾度とないやりとりで実現した。素材のコアな部分にはプラスチックも合成物質も使っていない。それこそが重要なポイントだった。ただ、一つだけ透明性という意味でお伝えすると、通常皮革にされている1mm以下の薄いコーティングには合成物質を使っている」と語る。
「バレンシアガ」チームは、「ファッションが私たちの自然環境を枯渇させている点、再生するときに果たす役割を認識している。ブランドは今、地球を住みやすい状態に保つ方法を見つける任務を負っていると考えている。そのため、バリューチェーンとともに、会社の環境への影響を軽減し、他の人々にも同じことをするよう影響を与えるためのアイデアを継続的に研究し、実行している」とコメントを発表した。