今年4月に逝去した「タイガ・タカハシ(TAIGA TAKAHASHI)」デザイナーで現代芸術家の髙橋大雅の初となる個展“不在のなかの存在”が、京都の建仁寺塔両足院で12月11日まで開催している。髙橋が生前に制作した彫刻作品をはじめ、同氏が収集していた仏像やメッセージを展示する。
展示のきっかけは、生前の髙橋が仏像のドレープ表現に興味を持ったことだった。780年ごろ建立の奈良・秋篠寺に安置されていた“伝救脱菩薩立像”という仏像の遺品を購入した際、その布のドレープに魅了され、西洋・陽東の古典作品をリサーチするようになった。その中で、芸術という概念が誕生する以前、古代ギリシャ彫刻やルネサンス期のミケランジェロ作品、日本の仏像など、時代や土地が異なっても“美の共通認識”としてドレープが描かれていることに着目した。その後、自身も古今東西の布のドレープに着想した彫刻を制作するようになった。
展示会場では、髙橋による石膏の彫刻作品“陰翳礼讃”や、銅で作った“天衣無縫”、火山岩の一種“玄武岩”を使った“時間の天衣”といった作品を並べる。会場となる建仁寺は、生前の髙橋が足しげく通い、彼のクリエイションに刺激を与え続けた場所で、髙橋と同院の副住職との会話からこの展示が実現したという。
展示に合わせて、昨年京都にオープンした総合芸術空間「T.T」では、インスタレーション“時をうつす鏡”を開催する。“時代を超えて生き続けるピース”として、カバーオールジャケットやデニムパンツといったビンテージアイテムとともに、髙橋が手掛けたウエアを並べる。また、限定アイテムとして、1910年頃のアメリカのカバーオールをベースにしたジャケット(税込55000円)を30着販売する。
さらに京都・中京区で西陣の老舗・細尾が運営する「ホソオ ギャラリー(HOSOO GALLERY)」では、髙橋が集めたビンテージコレクションの展示企画も行う。
■展示“不在のなかの存在”
日程:2月12月11日まで
時間:11:00〜17:00
場所:京都建仁寺塔頭両足院
住所:京都府京都市東山区小松町591
入場料:無料(別途拝観料)
■インスタレーション“時をうつす鏡”
日程:12月11日まで
時間:12:00〜19:00
場所:総合芸術空間「T.T」
住所:京都府京都市東山区祇園町南側
入場料:無料
■”Texture from Textile Vol. 2 時間の衣-高橋大雅ヴィンテージ・コレクション”
日程:2023年3月12日まで
時間:10:30〜18:00 (年末年始、祝日を除く)
場所:HOSOO GALLERY
住所:京都府京都市中京区柿本町412 HOSOO FLAGSHIP STORE 2F
入場料:無料