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【サステナ対談】伊藤忠商事×マッシュスタイルラボ キーマン2人が “循環”の現状と課題を語る

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 2022年、日本のファッション業界はようやく、循環型ビジネスへと大きく舵を切り始めた。アクションは大きくわけて2つ、「不要衣料の回収・リサイクル」と「CO2の測定・削減」だ。いずれもモノづくり、販売の仕組みを変革する大仕事であり、多くのビジネスパーソンにとって未知の世界である。そこで、この2点について今年アクションを起こした2社のキーパーソンに現状と課題、将来像について聞いた。

(この対談は2022年11月25日に開催した「WWDJAPANサステナビリティ・サミット」から抜粋したものです。下記の関連記事から期間限定で動画でも視聴できます)

向千鶴WWDJAPAN編集統括サステナビリティ・ディレクター(以下、WWD):まずお2人が今注力している仕事についてご説明ください。下田さん、伊藤忠商事の「レニュー(RENU)」とは?

下田祥朗・伊藤忠商事繊維原料課長(以下、下田):リサイクルポリエステルを中心とした環境素材のプロジェクトの一つです。繊維産業が世界第2位の汚染産業といわれる中で、特に廃棄衣料の問題を何とかして解決したい、という考えが起点です。繊維から繊維の循環型の世界を、ケミカルリサイクルポリエステルでもって少しでも目指せないか、という視点から「レニュー」プロジェクトをスタートしました。

WWD:ポリエステルをケミカルリサイクルするとは?

下田:ポリエステルの廃棄繊維を化学的に分子レベルまで分解し、それを原料として再利用して、ポリエステルの繊維を新たに作ります。

WWD:なるほど、「レニュー」は “RE”と“NEW”を組み合わせた造語なのですね。今、アパレル製品の使用される繊維は5~6割がポリエステルと言われています。それをバージン素材ではなく、リサイクル素材とする、これは業界の根底に関わる大きなチャレンジです。

下田:そうですね。廃棄衣料に加え、もう一つの重要な課題であるCO2削減にも関わってくるので再生、循環ができる取り組みは非常に重要です。

WWD:ケミカルリサイクルとマテリアルリサイクルの違いとは?

下田:化学的に分子レベルまで戻すケミカルリサイクルに対して、マテリアルリサイクルは簡単に言うとペットボトルを溶かして、糸に引き直すといった方法です。

WWD:だからケミカルリサイクルには大きなプラントが必要になってくる。一企業の取り組みにとどめず、国の基幹産業のひとつとして投資してもよい、という意見も聞かれます。「レニュー」の現在の生産量は?

下田:パートナー工場においては年間約3万トンの生産規模です。マッシュスタイルラボの「フレイ アイディー(FRAY I.D)」さんなど約100ブランドに使用してもらっています。

WWD:マッシュスタイルラボは今年、売上高が1000億円を突破。主力ブランドのひとつである「フレイ アイディー」も好調です。売り上げが大きいということはその分、多くの女性たちの手に再生素材が届くということ。岩木さん、使い心地はどうですか?

岩木久剛マッシュスタイルラボ執行役員生産管理本部本部長兼マッシュホールディングス業務管理部部長(以下、岩木):最初にご提案いただいたときに、非常に素晴らしい素材だと思いました。裏地から始めていますが、デザイナーも意識をしっかり持って使っています。

WWD:「レニュー」が目指す先とは?

下田:消費者が欲しいと思い手に取ったらそれがたまたま「レニュー」だったと。そんな世界がわれわれの夢です。

WWD:下田さんは、ジャパンサステナブルファッションアライアンス、通称JSFAの代表幹事でもあります。

下田:JSFAは、昨年8月に11社で発足し現在は正会員でいうと21社、賛助会員33社です。2050年に向けては「ファッションロスゼロ」と「カーボンニュートラル」を目標に掲げ、逆算して30年の目標を定めています。

WWD:ファッションロスゼロとは?

下田:作りすぎによる在庫過多や、消費者からの廃棄など、ゴミとなる繊維製品をゼロにするという意味です。

WWD:壮大な話です。1年が経過しての進捗は?

下田:現状把握のために会員企業へアンケートを実施したり、それを政策提言へつなげたりしています。具体的に成果が見えれば、新たな課題も出てきます。

WWD:現状把握はサステナビリティの初めの一歩ですが、廃棄衣料についてファッション業界は現状を把握してこなかった。だから環境省が2021年に「サステナブル・ファッション」と題して公表したさまざまなデータは意義が大きいと思う。「原材料の調達から製造までの環境負荷」や、「家庭からでる廃棄衣料の数値」もまとまっています。

最優先はCO2の削減。取引先と協業現状調査を始めた

WWD:岩木さん、マッシュスタイルラボは今年「サステナブルアライアンス」を立ち上げました。そこでも現状把握から始めているのでしょうか。

岩木:マッシュの一製品がどういうインパクトを与えているかについて今、アライアンスで調査をしています。

WWD:アライアンスの活動とは?

岩木:製品や店頭の資材・包材など原料生産に関わるお取引先さま6社と一つ、下げ札やショッピングバッグの生産など流通に関わるお取引先さま4社とは別にひとつ、計10社と二つのアライアンスを今年の2月下旬に発足しました。これまでにトータルで19回ミーティングを行っています。

WWD:約7ヶ月で19回の会議ですか。スピード感ありますね。集まるのは繊維商社などで、つまり競合がひとつのテーブルに着くと。そこで岩木さんは何をされているのですか?

岩木:マッシュが目指す「サプライチェーンでのCO2の排出削減」を実現するために、まずは意思を統一する。それからできることを明確にし、一つ一つこなしていきます。

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