TSIホールディングスとアリババクラウド(Alibaba Cloud)、JPゲームス(JP GAMES)の3社は、人気ゴルフウエアブランド「パーリーゲイツ(PEARLY GATES)」を軸としたメタバースプロジェクトをスタートした。
アリババクラウドは中国最大のECプラットフォーム・Tモール(Tmall)などを展開するアリババのITインフラとして設立され、2016年からは日本にデータセンターを開設し、顧客にクラウド基盤・サービスを提供してきた。JPゲームスは「ファイナルファンタジーXV」のディレクター田畑端・代表が立ち上げたゲーム開発スタジオだ。
今回の共同プロジェクトは、JPゲームスがロールプレイングゲームの技術とノウハウから作ったメタバース空間構築技術フレーム「ペガサス ワールドキット(PEGASUS WORLD KIT)」をアリババクラウド上で展開し、メタバース空間で新しい顧客体験や価値を創出する狙い。11月にスタートしたPoC(Proof of Concept:概念実証実験)ではTSIホールディングスが3Dシュミレーション「CLO」で製作した洋服の3Dデータを取り込み、メタバース空間上でアバターに着せて動作や重ね着などの細かなニュアンスの技術的な検証を行う。
12月15日に開かれた共同記者説明会で、今泉純TSIホールディングス上席執行役員は「ゲームのアバターの服はデフォルメされたものが多いが、TSIのメタバースはどれだけリアルに表現できるか。ゴルフ分野はウエアやプレーだけでなく、ゴルフを習ったり、プレーヤー同士の交流があったり、周辺の広がりがある。非常にいい事業分野ではないかと考え、ゴルフブランドのデータを活用して再現性の検証をしている」と語った。
メタバース空間は2023年度中のリリースを目標に、23年4月から制作を開始する予定だ。実際の活用については検討中としたが、今泉上席執行役員は「販売はECサイトでできるので、メタバース空間ではユーザーに楽しんでもらえる場所を作りたい。例えば(ゴルフブランドの)契約プロとの交流だったり、ゴルフ仲間と語れる場であったり、イベントも考えられる」と話し、JPゲームスがゲーム開発で得たユーザーの“遊ばせ方”と、アリババが持つIT先進国・中国のノウハウのフィードバックに期待を寄せた。
またTSIホールディングスとしてメタバースにかける思いを「超・ファッション」と表し、「車業界でF1は“走る実験室”と呼ばれ、F1で試した技術を市販車に転用している。ファッションでは、メタバース空間をデザインやファッションに込められたメッセージを磨く場として活用できるのではないか?クリエイションをリアルにフィードバックしていくことができるのではないか」と話した。