「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は12月15日、パリ2区にある本社ビルの一部に期間限定の展示スペース「LVドリーム(LV DREAM)」をオープンした。9つの部屋からなる会場には、草間彌生やジェフ・クーンズ(Jeff Koons)、リチャード・プリンス(Richard Prince)、村上隆といったアーティストやクリエーターとの歴代コラボレーションアイテムに加え、現代アーティストに委嘱した未公開作品を展示。さらに、限定アイテムやレザーグッズ、香水などを扱うギフトショップや、近隣にあるLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON 以下、LVMH)傘下の高級ホテル、シュヴァル ブラン パリ(CHEVAL BLANC PARIS)でパティスリーのヘッドシェフを務めるマキシム・フレデリック(Maxime Frederic)と協業したカフェとチョコレートショップも併設する。期間は2023年11月15日まで。入場は無料だが、オンラインでの事前予約が必要になる(展覧会以外は予約不要)。
「LVドリーム」は、かつては手頃な価格の既製服で人気を集めた老舗百貨店のベル ジャルディニエール(LA BELLE JARDINIERE)があり、数年前までは大手家具チェーン「コンフォラマ(CONFORAMA)」の店舗があった商業スペースを活用したもの。昨年には同じ場所で、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)が生前にデザインした限定版のスニーカーやジュエリーを販売するポップアップショップが開かれた。また、同エリアには、この1年半の間に16年をかけて改装された老舗百貨店のサマリテーヌ(LA SAMARITAINE)やシュバル ブラン、伊パティスリーショップ「コヴァ(COVA)」のパリ1号店がオープン。商業地区として活性化しており、ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼CEOは、周辺地域へのオフィスや店舗、住宅、レストラン、文化施設のさらなる誘致を計画しているという。
そんな立地にある本社について、マイケル・バーク(Michael Burke)=ルイ・ヴィトン会長兼最高経営責任者(CEO)は、将来的にブランド初のホテルと世界最大の店舗を含む巨大複合施設へと変える計画を明らかにした。ホテルに関しては、5年以内の開業を目指す。そして、「私の夢は、パリの繁華街の元祖ともいえるこの地域の再興だ。これはベルナールが長年構想してきたことで、今は半分まで来たところ。私たちが目指す姿になるまでには、あと10〜15年かかるだろう」と説明。「オフィスとしてではなく、もっと現代に合った活用法があるはずだ」とし、「今後10年間は開発途中になる。この展示スペースは1年間限定で、来年はまた別のことを企画する。そして最終的に40万平方フィート(約3万7000平方メートル)あるビルの大部分はオフィス以外のものになるだろう」と続ける。
この計画は、体験を重視した消費が増える中、ファッションブランドやラグジュアリーブランドがますますホスピタリティーに注力するようになったことを反映するもの。「体験こそが、顧客が私たちに求めていることだ。彼らは、24時間365日の関係を望んでいる」とバーク会長兼CEOは話す。