「ブルガリ(BVLGARI)」は12月14〜15日、ブルガリ ギンザ・バーで3年ぶりにカクテルイベント“シンポジア”を開催した。“シンポジア”とは世界のトップバーテンダーを招聘して行うイベントで「ブルガリ リゾート ドバイ」ザ ブルガリ バーのバーテンダーであるダリオ・スキアヴォーニが登場。29〜30日には、イタリア・ローマのバーであるドリンクコングのオーナー兼共同創業者であるパトリック・ピストレージが腕を振るう。
14日のカクテルテイスティングでは、ダリオとブルガリ ギンザ・バーのビバレッジマネジャーの川久保安寛が、それぞれのシグニチャーカクテルを振る舞った。
ダリオのシグニチャーカクテルは、ベースであるドバイをほうふつとさせる5種類。ジンに中東で人気の香辛料であるスマックやタマリンドシロップなどを加えてグレープフルーツソーダで割った“デザートパワー”は、フレッシュでドバイのような暑い気候にピッタリだ。コニャックベースの“サイドカー”をアレンジした“イエロー オア ゴールド”はチリでスパイシーに仕上げている。ダリオのトレードマークである口ひげのイタリア語“ムスタッキオーニ”は、イタリアの代表的なカクテル“ネグロニ”にポートワインを加えてひねりを効かせ、チョコレートの口ひげが添えられている。ラム酒がベースの“ベルペッパー”は、“ダイキリ”の変化球、ウォッカにラベンダーシロップを加えた“パープルスカイ”は夕暮れの空の色を想起させる紫色が印象的で、ドバイでも人気のカクテルだという。ダリオは、世界のベストバー50にランクインした「ブルガリ リゾート ドバイ」のバーテンダーということもあり、見事な手さばきに軽快なトークを混ぜながら、これらカクテルを提供。どのカクテルも、独自の素材をミックスすることで個性が際立つ味わいだった。
イタリアとカクテルの親密な関係
川久保は、カクテルのストーリーを語りながらブルガリ ギンザ・バーのシグニチャーカクテル2種類をつくった。日本でいう“ハイボール”は、海外ではハイボールグラスに入ったカクテル全てを指すそうだ。“ディス イズ ノット ア ジャパニーズ ハイボール”というユーモラスな名前のカクテルは、その名の通り、“ハイボール”=ウイスキーのソーダ割りという概念を覆す美味しさ。そのわけは、 ヨーグルトにある。爽やかで口当たりが良く、何杯も飲めそうだ。
“フレッチャロッサ”とは、イタリアのトリノからナポリまで運行する高速列車のこと。このカクテルの素材は、ミラノのカンパリ、トリノのカカオ、ローマのフォーティファイド フラスカーティというワイン、サレルノはモッツアレラチーズウォーターといったように、停車する各地の名産品からヒントを得ているという。
川久保は、イタリアとカクテルの関係についても説明。イタリアでカクテルが生まれたのが1867年。ミラノ産のカンパリとトリノ産のベルモットをミックスしたカクテルが“アメリカーノ”で、それにジンを加えたのがフィレンツェで生まれた“ネグローニ”だそうだ。“マティーニ”というとアメリカのイメージが強いが、ジンとスイートベルモットのカクテル“ジン アンド イット”のベルモットをドライに変えたものが“マティーニ”だ。イタリアには「マルティニ」というベルモットブランドもある。ベネチアの「チプリアーニ」ホテルで生まれたモモのピューレとスプマンテをミックスした“ベリーニ”の名前は画家の名前、モモがブドウになると同じく画家である“ティツィアーノ”の名前がつくそうだ。カクテルのほとんどがアメリカで生まれたと思っていたが、イタリアがルーツのカクテルの多さに驚いた。日本におけるカクテル文化はまだまだ。今回のテイスティングイベントで、カクテルは素材の組み合わせや背後のストーリー、組み合わせるグラスなど、いろいろな楽しみ方ができるものだと実感した。