ECの存在感がますます強まっているアパレルやコスメ、ジュエリー業界で、ハッシュタグの自動生成ツール「awoo AI(アウーエーアイ)」が注目されている。チュチュアンナや「4℃」を手掛けるエフ・ディ・シィ・プロダクツ、ロクシタンジャポンなど国内で約80社が導入し、チュチュアンナではコンバージョン率(Conversion Rate、商品購入率、以下CVR)が3.8倍に向上した。同サービスはハッシュタグでEC内の回遊性を高めるというが、どのようにユーザーを導くのだろうか。
ハッシュタグ
2020年にAI大国の台湾で生まれた「awoo AI」は、“ECをもっと探しやすく”をコンセプトに、EC内で回遊と購買を生み出すAIサジェストプラットフォームだ。「awoo AI」を日本で手がけるawoo Japanによると、ECサイトでは豊富な説明や画像がユーザーの満足度につながるという。そこで「awoo AI」は商品データからハッシュタグを自動生成し、ECのトップページや商品ページに表示すると共に自動でハッシュタグを最適化し、ユーザーが商品に出合いやすい導線を作り出す。
ハッシュタグはAIが1つ1つの商品特徴を理解し、商品ごとに最適なキーワードを自動生成する仕組み。ユーザーは複数の単語が組み合わさった“ロングテールキーワード”で商品の理解を深め、似たような特徴を持つ他商品を見て回ることができる。
また、ハッシュタグの自動生成だけでなく、画像レコメンド機能や商品レコメンドのポップアップ機能、サイト内検索のサジェスト機能などのオプションによって、より幅広い形で商品との新しい出合いを生み出すことができる。
出合いを生み出すハッシュタグ
これまでハッシュタグは、ECサイト上で手動で運用されることが多く、運用リソースがかかる、商品特徴を言語化する際に設定者のバイアスがかかるなどの問題を抱えていた。またTシャツを探している顧客に別のTシャツを提案するなど、顕在化したニーズへの対応しかできないことも課題だった。
「awoo AI」はこうした悩みを解決する最先端のハッシュタグ自動生成サービスとして、店舗で体験するような商品との偶然の出合いを生み出す。ハッシュタグを押すと、キーワードごとに関連商品が束ねられたカテゴリーランディングページが自動で生成される。生成されたランディングページにも関連した別のハッシュタグが表示され、ユーザーの回遊をサポートする仕組みだ。
例えばネックレスを探している顧客は通常、カテゴリーページから商品を調べ始めるが、「awoo AI」が生成するハッシュタグでは「誕生石」「ダイヤモンド」など別の商品特徴を提案し、ブレスレットやイヤリングなど別カテゴリーの商品にもたどり着くことができる。このように潜在的な需要に対しても商品を提案し、実店舗のような買い物体験を支援するのが「awoo AI」の魅力だ。
ハッシュタグ生成と商品提案を
最適化
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また、“Cookieレス”でハッシュタグ生成から商品提案までを行うことも「awoo AI」の特徴だ。ハッシュタグは商品名や説明文、商品画像など、商品特徴をベースにして生成され、最適化にはグーグルの検索ボリューム、在庫の相関などのデータを用いる。ユーザー個人の行動に依存しないため、非ログインユーザーや初回訪問ユーザーも求める商品を見つけることが可能。個人情報保護の観点でCookie規制の動きが進んでいることにも対応できる。
こうした機能と仕組みにより、「awoo AI」の導入企業では新たな商品レコメンド技術を武器にして商品の検索体験を向上し、サイト回遊率、離脱率、直帰率、CVRを改善させている。
ビューティ企業で
回遊性や購入率が大幅改善
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新規ユーザーの回遊性をECの課題としていたインナーやレッグウエアのチュチュアンナ。これまで手動で表示していたハッシュタグをロングテールキーワードで自動生成、最適化したことで、導入初月から新規ユーザーの回遊率が4.2倍に改善した。サイト全体としても、回遊率は4.4倍、CVRは3.8倍と大幅アップ。これらの作業が自動で行われることで、リソース削減にも役立ったという。
エフ・ディ・シィ・プロダクツのジュエリー「4℃」のECは、複数のブランド内ブランドを抱え、約3500点の豊富な商品から幅広く商品を訴求することが困難だった。そこで実店舗のような商品との偶然の出合いを生み出すため「awoo AI」を導入。埋もれていた商品をハッシュタグを使って効果的に訴求し、シーズン商品など注目されやすい商品以外にも回遊を生み出した。導入後、サイト回遊率は2.9倍、CVRも2倍に伸長している。
コスメティック企業のロクシタンジャポンは、ECサイトの豊富な製品点数とカテゴリーの中から顧客が目当ての製品を探し出すことに難しさがあったといい、顧客の多様なニーズに応えるため「awoo AI」を導入した。商品特徴から提案されるハッシュタグによってサイト回遊率は5.2倍と改善し、ユーザーが求める製品導線と新しいECサイト体験を提供。また回遊性が高まった結果、CVRも6倍に向上したという。