ケリング(KERING)が擁する「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」の勢いが止まらない。2021年11月、リブランディングの立役者となったダニエル・リー(Daniel Lee)の後任として、マチュー・ブレイジー(Matthieu Blazy)が内部昇格により急きょクリエイティブを引き継いだが、業界やファンの心配もなんのその、好調の波が続いている。バルトロメオ・ロンゴーネ(Bartolomeo Rongone)最高経営責任者(CEO)が、その真意や独自のブランディング術について語った。(この記事は「WWDJAPAN」2023年1月2&9日合併号からの抜粋です)
ケリングの発表による「ボッテガ・ヴェネタ」の売上高は、2020年12月期が前期比3.6%増の12億1030万ユーロ(約1694億円)、21年12月期は同24.1%増の15億280万ユーロ(約2103億円)と大きく伸ばし、直近の22年1~6月期は前年同期比17.8%増の8億3400万ユーロ(約1167億円)と好成長を続けている。日本でもリーが生み出した、“イントレチャート”を巨大化させたアイコニックな“カセット”シリーズなど、ジェンダーレスでシンプルなデザインが若者やトレンドセッターを中心に人気になった。その結果、昨年上半期の百貨店・特選売り場でも、幅広い価格帯と豊富なデザイン、カラーがそろうバッグや革小物などが、新規客の取り込みに奏功した。
最近では昨年11月に、バッグの永久保証プログラム「ザ サーティフィケイト オブ クラフト(The Certificate of Craft)」をスタートした。これは、対象バッグの無制限のクリーニングと修理のサービスを提供するもので、購入した製品をより長く使えるように無償でメンテナンスを行い、買い換える必要性を減らすことを目的とする。対象バッグは、“カリメロ”と“パデッド カセット”“カバ”。状態によっては、在庫限りの新品との交換も対応する。
新たなファンを増やす中、無償のケアサービスを導入し、より長く使えるよう提案することは、売り上げにも影響を及ぼすのではないか。この問いについてロンゴーネCEOは、「今やブランドを成功させるには、規模を大きくすることで成長するのではなく、影響力のあるブランドになることが重要だ。サステナビリティの観点で考えると、新しいものを買い増すのではなく、一つのものを愛用して長く持ち続けることが最も誠実な方法だろう。価値ある提案は多くのファンを引き付けるきっかけになるし、結果的に顧客数の増加につながっている。『ザ サーティフィケイト オブ クラフト』サービスにより、ブランドの影響力がさらに高まると期待している」と話す。
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