ファッション業界の展示会のデジタル化を支援する「ターミナル(TERMINAL)」が、2023年3月を目途にフリープランを提供開始すると発表した。このフリープランでは、「ラインシート作成機能」「オーダーシート作成機能」「来場者のアポイント管理機能」など、展示会準備に関わる機能を無料で活用できる。長きにわたり、展示会のデジタル化を推進してきたターミナルが無料機能提供に踏み切った経緯、そして、何を目指しているのか。同社の伊奈亮輔最高経営責任者(CEO)に話を聞いた。
まだまだマストではない
今回のフリープラン提供開始の経緯について、伊奈CEOは「展示会のデジタル化における導入ハードルをさらに下げるためだ」と説明する。「コロナ禍でファッション業界全体でもDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉も浸透してきているものの、その大半はBtoC ECの領域であることが多く、社内業務に関わるシステム開発やツールの導入はまだまだ進んでいない印象がある」という。しかしながら、卸売をおこなう企業にとって、展示会を開催することは、ビジネスへのインパクトも大きく、デジタル化による効率化や生産性向上、データを活用した分析と連携がビジネスを継続していくうえで重要、というのが伊奈CEOの考えだ。「ファッションビジネスは、クリエイティブ・デジタル・ファイナンスのバランスが大事だと考えている。事業規模が大きければ大きいほど、関わる人数や部署も多くなるため、デジタルを活用したオペレーションの改善やデータ連携・分析をしてくことで、結果として企業の底力も強くなるはずだ」。
それでも、展示会のデジタル化はまだまだ業界全体に浸透しないのか。「さまざまな要因があるが、大きい理由の1つは、特に中小企業においてデジタルに長けた人材が少ないことが挙げられる。そのため、ターミナルの導入を検討するのは営業部門であることが多く、担当する方たちにとっては『システムを導入する』ということが敷居が高そうに見えてしまっていると思う」と伊奈CEO。その敷居の高さを解消するために開始をするのが、今回のフリープランだ。「展示会開催をするうえでマストな業務を無料ツールとして開放し、デジタル化のきっかけを作りたい。まずは気軽にターミナルに触れてみてもらいたい」。
今後も無料で機能拡充
ターミナルは、今回のフリープランの提供開始後にも無料で利用可能な機能を随時拡充していく予定だ。「今回は展示会前の業務を無料機能として提供開始します。最も重要だと考えている受注データの蓄積はフリープランでは利用できませんが、それ以外の業務(CRM・帳票管理など)については追加機能としてどんどん無料で提供をしていきたい。『ターミナルの無料ツールを使えば、展示会業務は簡単に終わらせられる』というイメージを浸透していきたい」。
今回のフリープランを通じて、ファッション業界全体のデジタル化への意識向上の一端を担えればと考えているようだ。「今はさまざまな業務に活用できる無料ツールが世の中に溢れている。私たちは同じインターネット業界だからこそ抵抗感もなく、『無料ならとりあえず使ってみよう、分からなかったら聞いてみよう』というスタンスで自分たちでいろいろ試してみることが習慣化されているが、ファッション業界で働く人達ももっとそういう思考になっていってほしい。ターミナルのフリープランがそのきっかけになればいいなと思っている」。
展示会のデジタル化の効果とは?
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ターミナル
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