日本に流通するニットは現在、約99%が輸入品。残りわずか1%の希少な国産ニットの生産量の約3割を占めるのが新潟県だ。県の中央に位置する見附市は、最盛期(1990年前後)には70〜80社ものニットメーカーがあったが、選別淘汰が進み、現在残るは10数社のみ。そんな同市でも、長い歴史と最新技術を持つのが第一ニットマーケティング(近藤英雅社長、以下第一ニット)。1951年に創業し約70年の歴史を持つこのファクトリーは、その高品質なモノ作りから国内外のハイブランドからの生産依頼が絶えない。
第一ニットの最大の強みが、ハイゲージニットに特化した製造ライン。生産をハイゲージ専業へとかじを切ったのは今から約20年前。安価な外国製編地の流入が国内産地を脅かす中、中国をはじめとしたアジア諸国ではハイゲージニットを作る技術がなかったことから、大勝負に出た。「生き残りをかけた策だった」と第一ニットマーケティングの伊藤幸夫・営業一部部長は振り返る。最新設備への投資を惜しまず、“最も美しい編み目を作り出す”と言われる独・Scheller社製のフルファッション機(以下、FF機)を導入した。FFとは、人の体に合うように編み目を増やしたり、減らしたりしながら立体的に編み上げる成型編みの一種。一般的な編み機とは異なり、同時に最大12枚もの編み地を作ることができる。だが長さ10m超えの大型機のため、高額なだけでなく、そのメンテナンスや調整に手間を要する。日本では第一ニットのみ、世界でも数台しかない。
「最後は人の手」
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