セイナ/ユーチューバー
PROFILE:1998年2月27日生まれ、福岡県出身。インスタグラム(@sei__pan、23.8万フォロワー)を筆頭に、ユーチューブやTikTokなどの総フォロワー数約70万人のインフルエンサー。ヘアメイクも自分でこなし、カラフルなアクセや服をまとったファッション好きとしても知られる。カップルインフルエンサー「ゆたせなcp」としてはSNSの総フォロワー数180万人を超える PHOTO:TAMEKI OSHIRO
エニーマインド グループ(AnyMind Group)は、インフルエンサー事務所の子会社グローブ(GROVE)所属のカップルユーチューバー「ゆたせなcp」のセイナがプロデュースするアパレルブランド「セイニーブロンド(Seiney BLONDE)」を1月27日にスタートした。今回のブランドはカップルとしてではなく、セイナの単独プロデュース。インフルエンサーブランドが増える中で、どのようなブランドを目指すのか。なぜ今ファッションブランドを作ったのか。セイナ本人に直撃した。
ーーカップルでもブランド「キサマラ(KISAMARA)」を展開しているが、なぜ単独でブランドを?
セイナ「セイニーブロンド」プロデューサー(以下、セイナ):前から服が好きだったのでずっと自分のブランドを立ち上げたいとは思っていました。カラフルな服が好きでプライベートでもユーチューブの番組でもよく着ているのですが、彼氏のユウタと立ち上げた「キサマラ」はファンに向けたブランドで、ファン向けのグッズやユニセックスアパレルの展開をしていた。ファンには女性が多く、スカートとかウイメンズのアパレルが欲しいという声をいただき、そういうアイテムを出すなら別ブランドで作ろう、と。
ーーファンの比率は?
セイナ:ユーチューブのカップルチャンネルの場合、普通は男女比が4:6、5:5と男女比はあまり変わらないのですが、私たちの場合は8割が女性で、ファンも私たちをファッションの面からも支持してくれているのかなあと。「セイニーブロンド」では、最初のコレクションは私が好きなものや私が着たいものを、デザインや丈、シルエットにとことんこだわって作りました。このファージャケット(1万3000円)なんかは丈をミリ単位でこだわって作りました。やっぱりブランドなので、きちんと個性を見せたいと思って。ただこれからは、色などに関してはライブでファンの声をしっかり取り入れたいと思っています。
ーーブランド運営はどこまで関わっている?
セイナ:アイテムの企画やデザイン、SNSの運用を担当しています。売り上げ目標も私を含めたチームで決めていて、SNS投稿からのセッション数や購入数、初速の売り上げも確認しています。ユーチューバーをやっていると、視聴回数や再生時間といったデータを見るのが当たり前なので、数字はよく見ている方だと思います。ただ、あくまでも私の役割は、「セイニーブロンド」をディレクションし、ブランドのファンを増やし、喜ばせること。売上や利益といった具体的な数字のプランニングやECサイトの運営、製品の生産などは基本的にはエニーマインドグループが行っています。
SNS投稿画像からルック撮影のメイクまでセルフプロデュース
ーーブランドのコンセプトは?
セイナ:私自身のスタイルを反映したブランドで、海外の女の子が着ているようなカラフルで個性的な、デザイン性のあるアイテムを揃えています。これまでも「周りの目を気にして個性を抑えていたが、セイナを見て個性を表現できるようになった」と言ってくださるファンもいて、そういった人たちも後押しできる個性のあるブランドを目指しました。
ーーファッションのインスピレーション源は?
セイナ:私は海外の「ディズニーチャンネル」を見て育って、中でも(2000年代に流行したティーン向けドラマの)「シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ(Hannah Montana)」が好き。もともと2000年代のファッションやドラマの登場人物が好きでインスピレーションを受けています。なので、いわゆる「Y2K」は日本で流行る前から好きでした。実際にファンも海外のY2Kや「ディズニーチャンネル」を好きな子が多いと感じています。
ーーブランドのターゲット層は?
セイナ:明確なターゲット層はあえて決めていません。実際にユーチューブでやり取りしているファンの中には40代や子育て世代の方もいます。「セイニーブロンド」のテイストは、年齢やテイストでは区切らず、幅広い年代の人に着てもらえたら嬉しいです。ブランドサイトにはアメリカ、カナダ、韓国など海外からのアクセスも少なくなかったので、ゆくゆくは海外発送もできたらいいなと思っている。
ーーファーストコレクションのメインアイテムは?
セイナ:一番人気はアウターで、ピンクやブルーのカラフルなファー付きのレザー風ジャケット。ピンクやブルーのファーがかなり目立つ(笑)ので、ちょっと個性的すぎるかもと思っていたのですが、このアイテムが一番人気だったのは嬉しい誤算でした。
「セイニーブロンド」のファーストコレクションはファージャケット(価格1万3000円)、毛足の長いシャギーカーディガンとキャミソールのセット(1万1000円)、ショートパンツ(7000円)、ロング袖のカットソー(5500円)の4アイテム。セイナを担当するグローブの岩堀拓舞ファンコミュニケーション事業部部長によると、「初速がよく、最初の10分ほどで売り上げ目標の1/3ほどが売れた」という。サイトやSNS、ユーチューブなどでセイナ自身がコーディネートを組んだルックを掲載したり、着用していたこともあって、そのまま“マネキン買い”をする人も多かったようだ。インフルエンサー発のブランドというと、ステッカーやカットソー、パーカなど低単価や定番アイテムを打ち出しがちだが、「セイニーブロンド」はECだと売るのが難しい高単価の重衣料やセット販売に挑戦し、見事に成功させたと言える。今後もコーディネート提案は継続していく。
ブランドを広げる鍵は「購入者が気に入って拡散すること」
ーー自分のファン以外にブランドをどう広げる?
セイナ:オンラインのみの展開なので、SNSが鍵になると思います。私の周りのインフルエンサーさんに似合いそうな「セイニーブロンド」のアイテムをギフティングしたり、私自身が着て発信したりしていますが、一番重要なのは購入者が気に入って着た姿を拡散してくれること。そうなるためには、やっぱりファンの人たちの気持ちにきちんと向き合っていかないと。
ーー最近はインフルエンサーブランドが増えている。「セイニーブロンド」はどんな立ち位置を目指す?
セイナ:それは私も感じています。インフルエンサーがブランドを始めると「自分の知名度を生かしただけのお金儲けじゃないか」と見られることも多いのですが、私は「セイニーブロンド」をきちんとファッションブランドとして確立させたいと思っています。そのためには、商品へのこだわりや、制作過程をSNSやユーチューブなどでファンと共有してブランドへのこだわりを知ってもらいたいと考えています。ブランドSNSも投稿画像まで私が作っていて、世界観を崩さないように細部までこだわっています。サイトに掲載したルックやビジュアルも、コーディネートからヘアメイクまで自分でやっています。
ーーこだわりをどう伝える?
セイナ:ブランドロゴやアイテムのデザイン画は下書き段階からファンに見せていきました。そうすると、ファンの子にも自分で書いているんだ、考えているんだというのをわかってもらえるし、背景が見えるので。
ーー今後の目標は?
セイナ:2つあります。私もファンもディズニーが大好きなので、ディズニーコラボはしてみたいです!多店舗展開は考えていませんが、ブランドの世界観を体現しつつ、ファンの人達が楽しめる場として、一つでいいのでお店は出したい。勝手な理想ですが、「舞浜イクスピアリ(IKSPIARI:東京ディズニーリゾートの玄関口の商業施設)」に出店するのが夢です。