毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2023年3月13日号からの抜粋です)
木村:初めてのコレクション取材でしたが、本当に連日30分刻みのスケジュールで驚きました。私はミラノだけでしたが、ロンドンやパリも回って長期間取材するのは、並大抵ではないですね。時差ボケで変な時間に眠くなるのがキツかったです。向さんはどうやって乗り切っていたのですか?
向:時差ボケには基本的に逆らわないようにしています。眠くなったら、どこでも寝ちゃいます。あと、朝ご飯をしっかり食べて、胃から1日のリズムを整えます。コレクション取材はタイムマネジメントが命。移動中の車の中では誰もが、次に向かう先を調べたり、プレスに連絡を取ったりで、真っ先にPCやスマホに食らいつくものですが、木村さんは「気持ち悪くなるから」と一切スマホを開かなかったことに、たくましさを感じました。
木村:車酔いが怖くて……(苦笑)。前日に翌日のスケジュールを復習して、車の運転手さんに伝えるなど、段取りをしておけば大丈夫でした。でも、2日目朝イチの「トッズ(TOD’S)」のショーを15分遅く間違えていて、向さんをショー会場まで500mくらい走らせてしまいました。
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向:間に合ってよかったですよね。木村さんは全てが初めてで、「これでいいのかな?」を常に気にしていて、でも逐一私に聞くのも良くないと、常に私の表情を読もうとしていましたよね。
木村:はい。でも向さんは、ちょっと険しい顔をしていると思っていたら、「お腹いっぱいでボーっとしてた」と言ったり、表情からは読めない人なのだと分かりました(笑)。膨大なインビテーションを開けるためのカッターを貸してくれたり、最終日に目の調子が悪いと言ったら、さっと目薬を渡してくれたりと、「さすが!」と思うことが多々ありましたが、1番驚いたのはイタリア人の運転手さんとイタリア語でコミュニケーションしていたことです。
向:実はいくつかの単語しか使えないけれど、問題なし。コツはイタリア語のポップソングを1曲覚えること。そうすると、心を開いてもらいやすい。イタリア人と接するときの必殺技です。
木村:異国でのコミュニケーション術ですね。勉強になります。
向:私も26歳の木村さんのコレクション評がとても新鮮でした。今号は私と木村さんの評価の対比が面白い特集になったと思います。