「WWDJAPAN」のソーシャルエディターは毎日、TwitterやFacebook、Instagram、そしてTikTokをパトロールして、バズった投稿や炎上、注目のトレンドをキャッチしている。この連載では、ソーシャルエディターが気になるSNSトレンドを投げかけ、業界をパトロールする記者とディスカッション。業界を動かす“かもしれない”SNSトレンドの影響力や、投稿がバズったり炎上してしまったりに至った背景を探る。今、SNSでは何が起こっているのか?そして、どう向き合うべきなのか?日々のコミュニケーションのヒントにしたい。今回は、「アンプリチュード(AMPLITUDE)」と「イトリン(ITRIM)」のブランド事業中止に関するSNSでの反響からスタート。
ソーシャルエディター浅野:先日、「アンプリチュード」と「イトリン」のブランド休止が発表され、ファンの間に激震が走りました。とくに「アンプリチュード」は一時Twitterのトレンド入りするなど、ファンの悲しみの声が溢れていました。SNS上の美容に詳しいユーザーからは人気のイメージがありましたが、改めてブランドビジネスとはシビアだと感じました。3色入りで税込7700円のアイシャドウなど、百貨店コスメの中では高価格帯ですし、店舗数の少なさも影響していそうですね。SNSの反応を見ていると、知名度や人気はあれど、“いつか買ってみたい高嶺の花”になってしまった印象です。
推し活界隈には「推しは推せるときに推せ」という言葉がありますが、今回はまさにそれです。いつなにが起きるわからないのだから、今全力で推すべきという戒めの言葉です。私はベースメイクなどを中心に愛用していましたが、終了の一報を聞いてアイシャドウを買おうとサイトを見に行ったら、売り切れていました……。
記者村上:ECサイトが長らく閉じていた影響も大きいでしょうね。とはいえ、全体的に少しおとなしかった印象は否めません。それはマーケティングも、製品から連想するイメージも、使用感や効果実感も、です。今は「ディオール(DIOR)」や「シャネル(CHANEL)」のような全方位的プレステージブランドは別として、何かに特化して、それを前面に押し出していかないとユーザーの記憶に残りづらい時代です。企業のトップもブランドや製品開発においては「突き抜けたい」という言葉を繰り返します。2つのブランドは、“優等生”だったと思います。でも優等生って、「あの人、いい人なんだけど……、ねぇ?」って話した後、結局何にも起こらないなんてケース多くないですか?そんな存在になっちゃったかな?
アイドルは解散や卒業なんてこともあるから「推しは推せるときに推せ」なのでしょうが、ブランドも同じですよね。こと新しいブランドは、推せるときに推さないとリブランディングしたり、統廃合しちゃったりするから、本当に「推しは推せるときに推せ」して欲しい。かつて「ファッションニュース」という媒体を休刊から救うことができなかった私の切なる思いです(苦笑)。
一方でメジャーデビュー前のバンドのように「知る人ぞ知る」の存在だからこそ推すという消費活動もありますが、最近SNSを見ていると、そんなエクスクルーシブで排他的な感じは少し和らいできた印象がありますね。どうでしょうか?
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