パルコは3月16日、自社ECサイトを大幅刷新する。名称を「パルコオンラインストア」から「オンラインパルコ(ONLINE PARCO)」に変更するほか、これまで分散していた顧客IDを一元化、抽選販売や予約販売、手軽で安価な越境ECなど、テナントであるブランドや企業が使用できる機能を大幅に拡充する。EC事業を統括する林謙一パルコ執行役員は、「コロナ禍で、ファンづくりの重要性を改めて感じた。当社にとってECサイトは、ファッションビルであるパルコのファン作りの一翼を担うもの。販売員が使用できるくらい誰もが使いやすくし、かつテナントであるブランドやその販売員が多彩な売り方を可能にする一方で、パルコ独自のコンテンツも拡充する。コンセプトは『当社が拠点を持たないエリアでも、”パルコを体験”できる』こと。物販と同じかそれ以上に、体験価値を中心に置いている」という。
大幅リニューアルは段階を経て実施している。顧客IDの統合は昨年11月に完成し、越境ECも試験的にスタートしていた。越境ECでは「バイイー(BUYEE)」を導入、1注文につきサポート使用料300円でショップページを自動でユーザーに合わせて多言語翻訳(英語、中国語、韓国語)のほか、海外配送などのサポートを受けられる。すでに米国や韓国、イギリス、香港、台湾などから注文実績があるという。
ショップページでは、ショップ内アイテムの検索機能の強化のほか、来場者限定販売や電子チケット販売、転売防止効果の高い抽選販売、セット販売機能など、多彩な販売機能を拡充、店舗限定販売品などの販売も今後は強化する。
参加テナントや流通額などは公表していないものの、「目標ショップ数には達しており、2024年3月期の流通額は前年の倍増を計画する」(林執行役員)。パルコのEC担当者は「テナントの中には、すでに『パルコオンラインストア』を、リアル店舗にSNSやEC専任担当を置き積極的に活用し、高い実績を叩き出す企業も少なくない」という。