企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版社)の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回は絶好調のラグジュアリー・コングロマリット、LVMHの決算から地域別とカテゴリー別のデータをピックアップ。その特徴と強みを解説する。
1年前に初めてLVMHの決算を取り上げましたが、今回は最新の2022年12月期決算にどんな変化があったかを見ていきます。
前年の21年12月期は、ティファニー(TIFFANY)が加わったこと、好調なアメリカ市場によって伸びていましたが、22年12月期も売上高は前期比23.3%増の11兆円超、営業利益は同22.4%増の約3兆円。大きく伸びた前期から、さらに大幅増収増益しています。
コロナ禍前、19年対比で見ても、3年間で売り上げは1.5倍、営業利益は1.8倍に。回復がやっとの小売業が多い中、この成長維持がまず「すごい」の一言です。
当期躍進の最大の要因としては、ファッション&レザーグッズが相変わらず調子が良いということです。売り上げのほぼ半分を占めている同カテゴリーが同25.0%増。それから、「セフォラ(SEPHORA)」がだいぶ回復して、セレクティブ・リテーリングが伸びています。デューティーフリー(免税店)の方はいまいちでしたが、この後、中国からの旅行客数が復活すれば、大きく回復するのは間違いないでしょう。ファッション&レザーグッズに次いで2番目に売上高が大きいカテゴリーなので、ここの回復が全体に与えるインパクトは大きいです。
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