ファッション

新生「ボス」の水に揺れるような流動性に浸る マイアミでの2023年春夏ショーを現地リポート

 昨年ブランド刷新を行った「ボス(BOSS)」が、2023年春夏コレクションをアメリカ・マイアミで3月15日に発表しました。同ブランドは22年にドバイでイベントを開催し、今回はマイアミでコレクションを発表するなど、コレクションサーキットに捉われず、毎シーズンのムードにあった地でコレクションを発表しています。マイアミでショーを行った理由は何なのでしょうか。現地取材から、新たな「ボス」の魅力についても迫ります。

3月14日11:00
マイアミに到着

 世界各国からジャーナリストやインフルエンサーがマイアミ入り。筆者はニューヨークのJFK空港から飛び立ち、4時間弱でマイアミに到着しました。3月半ばというのに雪がちらついたニューヨークを抜け出し、気温20度のマイアミへ。常夏のイメージのマイアミにしては涼しい印象を受けましたが、ニューヨークに比べたらとっても過ごしやすく、太陽に感謝!

 ショーの前日は各国ジャーナリストたちと一緒にランチです。マイアミといえば!な景色が広がるサウスビーチへ移動し、ホテル「ザ マイアミ ビーチ エディション(The Miami Beach Edition)」に到着しました。ランチは椰子の木が揺れるプールの横でスタートし、デザートはマイアミ名物のキーライムパイで締め。その後プールサイドでのリラックスタイムを挟み、渋滞のひどいマイアミではサウスビーチからディナー会場のあるダウンタウンマイアミまで約1時間という距離のため、いそいそと移動します。ディナーは「マンダリン オリエンタル マイアミ(Mandarin Oriental Miami)」のテラスです。ウェルカムドリンクは、南米の名物ピスコサワー。カリブ海に面したマイアミは、カリブや南米の文化の影響を受けています。夜風に当たりながらシーフードを堪能した後、この日は朝3時起きで飛行機に乗ったためベッドへ直行しました。

3月15日14:00
「ボス」のショップを訪問

 翌日は、午前中からホテルのプールサイドでお仕事。マイアミは何度か訪れたことがありますが、開発のスピードが早いため、ダウンタウンを散策することにしました。ラグジュアリーデパート「サックスフィフスアベニュー(Saks Fifth Avenue)」などが入るブリッケル シティ センター(Brickelle City Center)の1階に「ボス」のショップがあるため、視察に行ってきました。店内はおなじみのスーツなどの他に、フィットネスやマイアミにぴったりな椰子の木プリントのリゾート感のあるコレクションなど、バラエティに富んだラインアップ。ビビッドピンクのウィメンズのスーツなどが素敵で、個人的にもほしいなと思いました。アーバンリゾートのマイアミにはぴったりな鮮やかなカラーと、洗練されたスーツのスタイルです。

19:30
ショー会場に出発

 ショー会場へは“BOSS”の文字があしらわれた専用車で向かいます。会場はビスケーン湾に面したヘラルド・プラザ(Herald Plaza)で、500人以上のゲストを招いての大規模なものでした。前情報では“水を使った演出がある”と聞いていたので、楽しみに会場入りします。“BOSS”と大きく書かれたロゴがゲストを出迎えると、ゲストの写真撮影エリアは背景に水が滝のように流れる演出。でも当日は思ったよりも強風で、写真を撮影されているゲストに向かってしぶきがかかるなんて場面も見られました。

20:15
いよいよショーがスタート

 屋外に設置されたショー会場に入ると、ランウエイと並行して川のように水が流れ、さらに並行して噴水のように水がリズミカルに高く上がったり引っ込んだり、さらにはライトアップされて幻想的な空間です。ゲストの席にはビニール傘が置かれており、何が起きるのかドキドキ。

 水が落ちるたびに“BOSS”と見える水の芸術が登場すると、いよいよショーがスタートしました。ファーストルックで登場したのは、なんとモデルのパメラ・アンダーソン(Pamela Anderson)でした。その後も「ボス」の象徴ともいえるスーツスタイルを解体し、アーバンリゾートのマイアミにふさわしい、ひねりを加えたモードなスタイルが続きます。流れる水のように流動性を持たせたシアーな素材が風に揺れ、テーラードと合わせることで、コントラストを生み出しています。

 マイアミというとトロピカルなリゾートを思い浮かべるところですが、コレクションに登場したカラーパレットはブラック、ホワイト、サンドベージュ、キャメルなどの新生「ボス」が打ち出すカラー。前半は軽やかなホワイトやサンドベージュを基調に、キャメルや黄色が差し込まれていきます。フリンジやシアーな素材がテーラードをベースにしたスタイルに盛り込まれ、軽快なバランスを生み出しています。後半は、ブラックとホワイトのコントラストや、オールブラックのスタイリングも異素材を組み合わせることで変化を持たせていました。このシックなカラーに軽やかなカッティングや素材感が、アーバンリゾートのマイアミにマッチしていました。今回のショーは“See Now Buy Now”で、熱気が冷めやらぬうちに公式サイトからコレクションの一部が購入できるというのもうれしいところです。

 次々に登場するモデルの中には、渡辺直美さんや先日引退を表明したスタイリストのロー・ローチ(Law Roach)、さらにはナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)とDJキャレド(DJ Khaled)が腕を組んで登場するなど、そうそうたる面々です。ショーが進むに連れ、演出でもある水が飛沫のように観客席の方まで飛び散ってきて、置いてあったビニール傘の意味が理解できました。なかなかの風と水で寒かったのですが、ラストを飾ったナオミ・キャンベルの後を、約70人のモデルが続くフィナーレは圧巻でした!

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

リーダーたちに聞く「最強のファッション ✕ DX」

「WWDJAPAN」11月18日号の特集は、毎年恒例の「DX特集」です。今回はDXの先進企業&キーパーソンたちに「リテール」「サプライチェーン」「AI」そして「中国」の4つのテーマで迫ります。「シーイン」「TEMU」などメガ越境EC企業の台頭する一方、1992年には世界一だった日本企業の競争力は直近では38位にまで後退。その理由は生産性の低さです。DXは多くの日本企業の経営者にとって待ったなしの課…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。