店舗スタッフによるコーディネート投稿など、「オンライン接客」を可能にするサービス「スタッフスタート」を展開するバニッシュ・スタンダードの小野里寧晃社長が初の著書「リアル店舗を救うのは誰か ~今すぐ『店舗スタッフ』にECを任せよ~」(日経BP刊)を3月25日に上梓する。ここではその内容を紹介するとともに、小野里社長に、上梓の意図や思いを聞いた。
書籍は「何もしないバカより、挑戦するバカでありたい」という諧謔的な前書きから始まり、「今、リアル店舗で何が起きているのか」「オンライン接客という『令和の救世主』」「元ギャル男社長が渋谷のストリートで学んだこと」「どうする?リアル店舗 OMO先進企業は何が違うのか」「カリスマ店舗スタッフのオンライン接客術」「『もう1店も潰さない』。リアル店舗の明るい未来」と題した6つの章で構成。「スタッフスタート」の活用事例として、「スリーコインズ」を擁するパルグループホールディングス、「フリークスストア」で知られるデイトナ・インターナショナル、「ザ・ノース・フェイス」を擁するゴールドウイン、ニトリホールディングス、三越伊勢丹、イオンモールのOMO(オンラインとオフラインの融合)施策や、オンライン接客コンテスト「スタッフ・オブ・ザ・イヤー」の上位入賞者を集めた「令和のカリスマ店員」最強名鑑なども盛り込んでいる。
日本を代表する経営コンサルタントの大前研一ビジネス・ブレークスルー大学学長や設楽洋ビームス社長との対談も実現。大前氏の「『あなた(店舗スタッフ)の努力で人生を変えていける』。これが、バニッシュ・スタンダードの事業の他との一番の違いだし、この観点から事業を組み立てた人は今まで日本にはいない。『怒りと愛』を原点にした、『日本一のビジネスモデル』だ」という分析や、「人軸の経営」を行うビームス設楽社長の「リーダーの一番大事なポイントはモチベーションに火をつけること。経営者の仕事はモチベーションをデザインすることだと言っても過言ではない。スタッフ・オブ・ザ・イヤーはモチベーションをデザインすることにおいて、すごくいいトライアルだと思う」といったコメントも興味深い。
「好きの力」を信じて、人と人がつながり合い、好きなことを続けられる世の中を
小野里社長は、書籍の上梓に当たり、「僕には伝えたかったことがある。それは『スタッフスタート』のサービスを広めたいとか、そういう小さいことじゃない。時代の進化に期待しすぎて、人が人に与える力を忘れてしまうこと。そして、時代の進化を理解しないで、今までと同じ方法でしか人に期待しないこと。そういう状態に危機感を抱いていた。今、企業と顧客、店舗とECは、時代の進化と共に関係値も立ち位置も明らかに変わってきている。それぞれが持つ大切な意義は決して変わっていないけれど、個々に進化して互いの関係は希薄になっている。しかも、この世の関係というのはITで繋がっているみたいな感覚に陥っているんじゃないかって心配になっていた。そんな心配を解決してくれたのが、働く人が持つ「好きの力」だと思う。好きだから働いてくれている店舗スタッフは、顧客やファン、本社の人々との関係値をもっとつなげていく力を持っている。その力を今一度信じて、人と人の時代にもう一度返り咲くべきじゃないか。ビジネスのこととか自分の保身、そういうことばっかりじゃなくて、もっと好きなことをして、もっと好きを応援してあげられる、そんな笑顔が溢れる世界へ。もう一度、人と人の温度がつながり合うような、好きなことを続けられるような、そんな自由な世の中へ一緒に時代を切り拓いていきたいと思い、この本に願いを込めた」と明かす。
なお、この書籍に執筆協力した筆者としては、「スタッフスタート」は、とても優しさと易しさのあるOMO施策の支援ツールであり、バニッシュ・スタンダードが目指す、「富(収入)とプライドの両面での『店舗スタッフの地位向上』」や、新しい働き方の実現、社会課題に対する解決意欲などに共感。商業施設や街を丸ごとDXする構想や、新しいスタッフ評価「チップ文化」構想、スタッフスタートの一般開放構想、そして、海外展開など、小野里社長が描く未来像に期待したい。
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■書籍「リアル店舗を救うのは誰か ~今すぐ『店舗スタッフ』にECを任せよ~」
著者:小野里寧晃
出版社:日経BP
ページ数:288頁
価格:1870円(税込み)
販売:全国の書店、アマゾン