カシオ計算機の「G-SHOCK」が誕生して40年。タフさと普遍的なデザインで世界中から愛されるキング・オブ・デジタル時計だ。その「G-SHOCK」をカスタマイズして自分だけのオンリーワンな時計を手に入れることができるサービスが、「MY G-SHOCK」。
このたび「MY G-SHOCK」が、B BOY彫刻家として世界的に活躍するTAKU OBATA(小畑多丘)とコラボレーションし、“MY G-SHOCK” x TAKU OBATA “DWE-5610TM”を制作。2年以上かけて完成した本作のデザインは、ダンサーであり、B BOYであり、そして彫刻家であるTAKU OBATAの思想が隅々にまで落とし込まれたモデルに仕上がっている。各パーツにB BOYフレイバーが満載だ。
今回は本作をデザインしたTAKU OBATAに、コラボレーションに込めた思いと、「G-SHOCK」の魅力を語ってもらった。
「G-SHOCKは
タフさが格好いい」
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──まずは「G-SHOCK」の存在を知ったのはいつでしょうか?
小畑:中学生とかかな。「G-SHOCKっていうのがある」「すごい丈夫なんだよ」という感じで、自然に入ってきたというか。
──思い出のモデルはありますか?
小畑:昔、ヒップホップイベントの「B BOY PARK」とコラボレーションしていて。それはライトをつけると誰かのグラフィティが出てくる仕様になっていたと思うんですけど、その時に「こんなことができるんだ!」とめちゃめちゃテンションが上がった思い出があります。あとはやっぱり映画「スピード」でキアヌ・リーブスが着けていたイメージが強いです。日本の時計をしていたということと、シンプルでアナログなんだけどデジタルみたいな感じに、タフなところがかっこよかったというか。すごく完成されてるなっていう印象がありました。
──いろんなデジタル時計がある中で、気になってはいたのですね。
小畑:そうですね。あとスケルトンのやつとか、「BABY-G」とか、サーファーの人達が着けていたりとか。雑誌「ファイン」で昔よく見ていたイメージもありますね。
──今回のコラボレーションはどのような時計になりましたか。
小畑:どこから説明しようかな。ベースとして黒、白、スケルトンと3種類あるんですけど、まずスケルトンの時計って「G-SHOCK」以外のブランドではあまり見ないイメージがあるんですよね。それでサンプルで緑のスケルトンだったりと、いくつか見せてもらって、自分でも実際に着けてみたんですけど、気軽に気にせずに着けられたので、スケルトンっていいなと。おもちゃ感もあっていいんですよね。
──スケルトンのベルト部分には小畑さんの作品が見えないようで、しっかり入っていますね。
小畑:ベルト部分の作品は、3型とも全部一緒でそれぞれ色が違うんですけれど、あえて同系色にしてもらいました。自分が着けることを考えて、あまりガチャガチャしないようになるべく目立たなくしています。もうちょっと濃くてもよかったかな(笑)。白には白のプリントになっているんですけど、少しでも見えやすいようにパール印刷といって、光の当たり具合で見え隠れするようになっています。黒に黒だと本当に見えなくなってしまったので、グレーにしています。
──文字盤に入っているB BOYのドローイングは、今回のコラボのために描いたのですか?
小畑:そうです。たくさん描いて、その中から選びました。箱もそうなんですれけど、短冊状に手描きした作品をそのままスキャニングして。僕はパソコンを使わないので、手描きで作品を描いています。だからどれも大きな原画があります。それを拡大した大きなサイズの時計にトレーシングペーパーでのせていって、そこから実寸サイズも作って、大きさのバランスを見てみたりもしました。なのでいろんなことをしましたね。
──アナログな制作だったのですね。いつものように描いて、それを時計のサイズにあてはめていくという。
小畑:そうです。ペンも最初は細いので描いていたんですけど、途中で太めに変えてみたりだとか。それとブラックのフェイス面の言葉に関しては「B BOY RESIST」や「FLOOR RESIST」といろいろ考えてみたり、「MOVE」「SPACE」「GRAVITY」というのも考えたんですけど、著作権で使えなかったんですよね。だけどオリジナルに対しての字のフォントとか流れ、どの場所から始まってとか、そういうのもかなり考えました。
──従来なら「CASIO」の下に入っている「WATER 20BAR RESIST」 が……。
小畑:「EVERYTHING KEEPS MOVING(=全てのものは動いてる)」に変更しています。形あるものは、全て動いてるという。時計も動いていますからね。あと、通常モデルだと「ALARM」と「CHRONO」と入っている部分は、「CARVING(=彫る)」と「MODELING(=盛る)」になっています。その上には「THERE IS NO BECAUSE THERE IS(=有るが有るから無いが有る)」としました。他にも「SCULPTURE」を使っていたり、下部の中央には、作品で描いている物体を描きました。下の赤い部分を残して、シンプルにアウトラインだけ取っています。
B BOY彫刻家の思想を
デザインに落とし込む
──一見、通常のブラックの「G-SHOCK」に見えるのですが、よく見ると細かく小畑さん仕様になっているという。
小畑:先ほどお伝えしたように「G-SHOCK」のデザインって、完成されているものなので、これ以上いじる必要はないんじゃないかって最初は言ったんですよね。でもそうするとコラボレーションの意味がないからと。そりゃそうだよなと(笑)。それで考えて、盤面に字がいっぱいあるから、これを変えてしまえばいいんじゃないかと思いつきました。ある種のサンプリングですね。だからパッと見は何が変わったか全然分からないけれど、実は違う言葉が書いてあるっていうのは、ちょっとヒップホップにも通じるかなと。
──言葉選びも素晴らしいです。メッセージ性もありますし。
小畑:言葉は、彫刻に対して自分が考えている思考です。それが全部入っていますね。物体に変えた部分も、字の流れの位置関係とか結構細かく考えました。
──ブラックとは逆に、スケルトンとホワイトの盤面には文字をあえて入れず、すっきりしたデザインにされていますね。
小畑:機能的なところだけを残して、見えづらいんですけれど、B BOYを1人と、3人を入れてみました。あとライトをつけるとバックパネルにドローイングが出てくるようにしています。ブラックだと見えにくいんですけれど、それぞれ違う演出になっているので楽しんでほしいです。
──そしてこれが、“MY G-SHOCK”で自分好みにカスタマイズできてしまうのが嬉しいですね。小畑さんはどのようにカスタマイズされますか?
小畑:パーツの組み替えは、パソコン上でシミュレーションできるんですよね。僕的には、オールブラックが格好いいかな。でもスケルトンもいいですね。スケルトンとホワイトは女性にもおすすめです。これからの季節、海にスケルトンは映えると思います。昔からあるシンプルなブラックのモデルは普遍的に着けられるというか、男女問わず、年齢問わず、幅広く着けることができるかなと。
「僕の名前を使ってできるって
すごいこと」
──今回のコラボレーションを通じて、ご自身のアート制作にフィードバックされたことはありますか。
小畑:僕はちょっと感覚がマヒしているところがあるんですけど、自分のやってることって、アートじゃないですか。その全部1人で作った作品をどう見られるかっていうところでずっとやってきているので、実はコラボレーションはあまりやらないんです。
──自分だけの作品ではなくなってしまうという感じでしょうか。
小畑:そうですね。他ブランドともやってはいるんですけど、ブランドの強いイメージがついてしまうというか。そのイメージに乗っかっているように見られるのもなんか嫌なので、なるべく対等になるように考えて気を付けているんです。だから「G-SHOCK」の話もすごく嬉しい反面、最初はそんなに乗り気じゃなかったんですよね。でも友達に話をしたら、すごく驚かれて「超いいじゃん!」と言われて。母にも話をしたら、母からも「すごいじゃない!」と言われて、確かにすごいことだよなと思うようになって。自分が高校生だとしたら、これはすごいことだよなみたいになってきて(笑)。だからTAKU OBATAと“MY G-SHOCK”、僕の名前でそれができてるってすごいことで、本当にありがたいことだなと思います。嬉しいです。
──家族や友人の後押しもあって今回のコラボレーションが実現したのですね(笑)。
小畑:言い方はおかしいかもしれないけど、外部からの要望でコラボレーションを考えることになるわけじゃないですか。そこで普段は作品作りをする上では考えないことを考え始めないといけないので、だからこれってデザインなんですよね。僕は普段はデザインをしないので、それが面白いと言えば面白いというか。ただやっぱりどうしても自分の本質からはズレてきてしまうので。あまりやりたくないことなんです。
──ですが今回のコラボレーションでは、ヒップホップ的な“サンプリング”を取り入れていたことも知れて嬉しかったです。
小畑:サンプリングして字を変えることを思いついたときは、自分でもすごく良いこと思いついたな! と思いました(笑)。これだったら自分も嬉しいし、着けたいなと思えたので。
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TAKU OBATA
今回デザインされた“MY G-SHOCK” x TAKU OBATA “DWE-5610TM”は3種類。時計のフェイスには、それぞれ異なったデザインが施され、シンプルな盤面にTAKU OBATAがこのために描き下ろしたB BOY(スケルトンは3人、ホワイトは1人)がプリントされ、ブラックでは従来の盤面にある文字をTAKU OBATA仕様にサンプリングされている。ブラック、ホワイト、スケルトンのバンドにも、描き下ろしのB BOYがプリントされている。ベースの色に目立たぬ色をプリントしているところは必見。制作過程ではPCを使用せず、全て手描きでデザイン。アナログな手法はアーティストであるTAKU OABATAのこだわりでもある。また本作を購入した人には、描き下ろしのサインが施されたパッケージに入ってくるのも魅力だ。価格は、組み合わせるパーツによって異なり(1万8700円から1万9250円税込)、発売は4月19日14時にカシオ公式オンラインでスタート。
“MY G-SHOCK”とは、液晶、文字板、ベゼル、ベルト、ベルトループ、バックルといったパーツの配色を決め、自分だけの「G-SHOCK」を作ることができるカスタマイズサービス。その組み合わせは100億通り以上で、自分だけのオリジナルはもちろん、仲間や恋人と一緒に作ってみたりプレゼントにも最適。この“MY G-SHOCK”は、オンラインストアでのみ購入が可能。オーダーを受けてから、山形にあるカシオの工場で1つ1つ組み上げることから、少し時間がかかるけれど安心のMADE IN JAPANクオリティーでお届け。この機会に、世界に1つだけのオリジナル「G-SHOCK」を作ってみるのはいかがだろうか。
TEXT:KANA YOSHIOKA
EDIT:SHUICHI AIZAWA(PineBooks Inc.)
カシオ計算機 お客様相談室
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