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ショーイチがアパレル各社と取り組む“衣料品廃棄ゼロ”への道 低コストで社会に貢献

 アパレル業界の大量生産・大量廃棄のビジネスモデルに、社会から厳しい目が向けられるようになっている。コロナ禍を経て、世の中の環境意識がよりいっそう高まる中、大阪を拠点に余剰在庫の買い取り・リサイクル業を行うショーイチ(山本昌一社長)は、余剰在庫を新たな資源として活用する独自のスキームを構築し、ビジネスの規模を拡大している。

年間で3000社から4000万点の
衣料を買い取り

 ショーイチは2004年に法人の余剰在庫買い取りサービスを開始した。当初はインポートブランドが中心で、07年ごろから国内ブランドの買い取り件数も増加。現在、年間約3000社から4000万点を買い取っている。これはアパレルの余剰在庫回収としては国内最大規模という。それらをリサイクルやリセールへつなげているが、買い取った余剰在庫は上の写真のように、仕分けしてエリア別に倉庫に保管。在庫が混じり合わないことで在庫流出によるブランド価値毀損の可能性が減り、安全性が高まる。

リサイクル過程は
ショーイチが一括管理

 買い取った余剰在庫は、ショーイチが自社内で1点ずつ手作業でパーツに分解し、ブランドタグを外す。タグがついたままリサイクル工場などに運ばれないようにするためだ。その後、①ウール混率80%以上、②その他繊維に仕分けする。仕分け後、①のウールはサンリードでリサイクルウールの原料とする。②のウール以外の繊維は同心工業で反毛加工によりフェルトにする。一連の過程はショーイチが一括管理しており、どのようにリサイクルしたかを各社に報告する。

 再生ウールの一部はショーイチがセーターにし、カタログECなどに卸販売している。既に3000枚の販売実績がある。

自社グループの就労支援施設で
分解・仕分け

 ショーイチの衣料品回収・リサイクルビジネスの最大のポイントは、自社グループ内で就労支援施設を運営し、回収した衣料品の分解や仕分けを同施設内で行っている点だ。廃棄する衣料品を資源ととらえ、アパレル企業、就労支援施設、ショーイチの3者に利がある仕組みを作っている。

 一般的に企業の余剰在庫は産業廃棄物であり、リサイクル業者が回収する場合は企業側がリサイクル代金を支払う必要がある。しかし、ショーイチは、就労支援施設の「仕事」として在庫を低コストで買い取る。これにより、企業側の負担が軽減し、施設側も仕事とその対価を得られる。

 就労支援施設とリサイクルビジネスの協業は増えているが、ショーイチの場合はグループ内で運営することで行政からの助成金も得ており、働く場の提供に加えてよりよい対価を生むことで自立支援につなげているという。

「安全でリーズナブルなリサイクル」
を提供

 ショーイチを運営する山本昌一社長は、「廃棄される余剰在庫を、リーズナブルに、安全に、大規模に、迅速に買い取ってリサイクルし、日本の衣料廃棄をゼロにする」ことを目指している。「われわれは大阪、奈良、三重に延べ5000平方メートルの自社倉庫を持つと共に、自社グループで運営する就労支援施設で障がい者の方などに自立支援として分解・仕分け作業に携わっていただくことで、クライアントに対しより安全でリーズナブルな衣料品リサイクルを提案できる」点が強みと話す。

 一般的には、余剰在庫を廃棄するよりも、リサイクルする方がコストがかさむケースが多い。それにより廃棄を選ばざるを得ない企業やブランドに対し、「われわれのより安全で、リーズナブルなリサイクルを活用いただきたい」と山本社長は強調する。「より安全」というのは、手違いによる在庫流出などによる「ブランド価値毀損のリスクがない」という意味。次回、ショーイチがどのように安全性を担保しているのかを詳しく紹介する。

問い合わせ先
ショーイチ
050-3151-5247