毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2023年4月10日号からの抜粋です)
林:前回から半年も経ってないゴルフウエア特集だけれど、コロナ禍が明けてゴルフマーケットはどうなるのかを占うような特集になったと思う。
美濃島:コロナ禍でゴルフブームになり、150〜200ものブランドが増えたと言われていましたよね。半年前に取材したときも、新規顧客は増えているけれど、数は頭打ちになってきているという状況でした。
林:新ブランドが多数出て、もともと強かったブランドが食われるのかと思っていたら、あまりそんなことはなかったよ。特に「マーク & ロナ(MARK & LONA)」。木村拓哉を起用した広告もよく見るし、上場もし、高級ショッピングモールに出ている。売上高も22年度は55億円で、2年前に比べて倍増。TSIの「パーリーゲイツ(PEARLY GATES)」も含めて、強いブランドに人気が集中にしている。
美濃島:既存ブランドが強い理由は何でしょう?
林:団塊世代が70歳を超えて、あまりゴルフ場へ行かなくなり、50代以下の団塊ジュニアに代替わりしている。そこの富裕層に支持されるかが重要。「マーク & ロナ」は年間100万円以上の購入者が結構いるらしい。ビームスやユナイテッドアローズなど、団塊ジュニアと一緒に成長してきたセレクトのゴルフラインは伸びる。
美濃島:日本に富裕層自体が増えていて、百貨店のラグジュアリー売り場が盛り上がっているのと一緒の流れですかね。
林:そうだと思う。これまで百貨店とスポーツ専門店しか出店場所がなかったけれど、高級モールでゴルフウエアの集積が増えていて、流通も結構変わってきている。でもベースは定期的にゴルフクラブに行くコンサバな層なんだと思う。
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美濃島:最近、僕の少し上の世代、30代前半で少し生活に余裕ができた人や、結婚した人がゴルフを始めたというケースをよく聞きます。ブームとは関係なく、ゴルフを始めるタイミングってあるんですよね。林さんが「ブームでやり始めた人の2割が残れば御の字」と言っていましたが、このブームで得た新規客に各社がどうアプローチするのか。次回特集する際には、そういうところをカバーしたいです。
林:メディア露出的には女性プロゴルファーが多く、賞金やスポンサーも女子が男子を圧倒しているのはスポーツ界では非常に珍しい。けれど、実際の市場は7対3で男性が強い。この辺り、女性をどう定着させるかが肝だね。