「クロコダイル」を展開するヤマト インターナショナルの23年8月期上期(22年9月-23年2月)決算は、売上高が前年同期比7.8%増の107億円、営業利益が同2.8倍の2億1900万円、経常利益が同26.4%増の4億1800万円、純利益が同30.7%増の3億4400万円だった。主力の「クロコダイル」はほぼGMS(総合スーパー)を販路としているが、上期は11月を除き前年同期をクリアした。梅川実・取締役常務執行役員は「月を追うごとに上向いており、2月はコロナ前の水準にほぼ追いついた。下期以降もコロナ前の水準をベースに計画を立てている」という。
粗利率は56.5%となり、1.2ポイントの悪化。円安や原材料価格高騰が原価率を押し上げた。上期の主力だった秋冬物ベースで商品価格は5%上昇したものの、「先行きの見通しは不透明だが、客数も商品単価もアップしており、現時点では価格アップによる買い控えなどは起こっていない」という。LINEやアプリによるデジタルコマースも強化しており、会員数は前年同期比で27%増の約70万人に達している。EC売上は公表していないものの、「24年8月までには全体の10%に引き上げたい」という。メンズ向けのD2Cブランド「シテラ」も順調に拡大しているという。
上期末の店舗数は昨年8月末に比べ6店舗減の880店舗で、内訳は直営12、GMSのコーナー展開が868。不採算店舗の閉鎖を行ったものの、「直営店の成功店舗ができ、下期以降から出店を再開する」という。アウトレットやNSC(小型モール)など今年に入って3店舗をオープンしている。
GMSでは最大手のイトーヨーカ堂が大掛かりな構造改革プランを発表しているが、「今下期も含め、現時点では大きな影響は見込んでいない。閉鎖店舗もあるが、場合によってはコーナー展開している『クロコダイル』の売り場スペースが大きくなるケースも考えられるため、率直に言ってプラスとマイナス、両方の可能性がある」(梅川取締役)という。
通期の見通しは売上高が前年比10.6%増の214億円、営業利益が同72.8%増の2億5000万円、経常利益が同25.1%減の4億8000万円、純利益が同20.4%減の3億6000万円。減益の主な要因は雇用調整助成金がなるなるため。下期は「不透明感は残るものの、足元の3月を含め、売り場の状況は悪くない。既存の売り場のパワーアップや、細かく地道な売価コントロールによるプロパー消化率の向上などで収益力をあっぷさせる」と梅川取締役。