ユニクロは4月21日にオープンする「新しいロードサイド店舗“ユニクロ ロゴストア”」である前橋南インター店(群馬)を、サステナビリティ面のプロトタイプ店舗と位置づけ、同様の考え方の店舗の拡大を進める。竹中工務店と組み、省エネルギー・創エネルギーのための「9つの工夫」を内外装に盛り込んだ。「(同面積の従来型ロードサイド店舗に対し、自社調べで)消費電力を40%削減すると共に、消費電力の15%を自家発電でまかなうことができる」(遠藤真廣ファーストリテイリンググループ執行役員)という。
ユニクロの親会社、ファーストリテイリングは、「店舗やオフィスにおいて2030年度までに、19年度比で温室効果ガス排出量を90%削減する」という目標を21年に策定している。その中で、「ロードサイド店舗では19年度比で40%削減」「モール内店舗では同20%削減」を掲げており、新店はその指針に沿って設計した。
省エネルギー・創エネルギーを実現した「9つの工夫」とは、①天窓、②ガラスファサード、③ひさし、④エアカーテン、⑤明るさセンサー、⑥人感センサー、⑦CO2・温度センサーおよび全熱交換器、⑧服のリサイクル断熱材、⑨太陽光パネル。①は店内中央の天井に設け、自然採光を生かして照明にかかるエネルギーを削減する。②は店舗をぐるりと囲む大きなガラスファサードにより、天窓同様に自然採光で照明エネルギーを削減。③は夏と冬の日光の入り方を考慮し、照明や空調にかかるエネルギーを減らす。
④のエアカーテンは入り口の自動ドア部分に設置し、店内の気圧と外気のバランスをコントロールして、ドアが開いた時に店内の適温の空気が外に出てしまうことを防ぐ。⑤や⑥のセンサーは、店内の明るさやバックルームなどが無人であるかどうかに反応し、照明をコントロールする。
⑦は店内のCO2濃度で人の多さを測り、ファンを稼働させると共に、換気量を最適化する。⑧は店を覆う断熱材の30%に、店頭で消費者から回収したユニクロの着なくなった衣類を細かく裁断して使用、空調エネルギーを削減する。⑨の太陽光パネルは屋上に設置しており、店舗の年間消費電力の3分の1をまかなう。
これらの取り組みにより、同店は国土交通省のガイドラインに基づく第三者認証の「BELS(Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)で最高ランクの星5つを取得するなど、各種認証を得ている。
サステナビリティにおけるプロトタイプ店舗として、同店はグローバルで今後の出店の際の指標やモデルとなるが、「(同様に工夫を盛り込んだ店舗の)具体的な出店計画はまだない」と遠藤執行役員は話す。「(世界各国の)立地や気候特性によって条件が異なるため、どのように省エネルギーに取り組むべきかは店舗ごとに考えていく必要がある。この店を運営する中で溜まっていく知見を今後の出店に生かしていきたい」と続ける。まずは自社でコントロールできるロードサイドの独立店でトライアルし、デベロッパーの判断が大きな比重を占めるモール内店舗などにも生かせるアイデアは生かしていくようだ。