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プロレス沼にハマりまくっている令和の“プ女子” 清宮海斗と干場義雅も参戦し戦いのゴング鳴る

 「出る前に負けること考えるバカいるかよ」。かつてアントニオ猪木は、試合前のインタビュアーのネガティブな質問にそう言い放ち、ビンタを食らわせた。勝ちの美学もあれば負けの美学もあるプロレスに、定石通りの試合なんてない。戦いは常にシーソーゲーム。ジャイアントキリングや番狂わせに、ハラハラドキドキするのがプロレスだ。そのプロレスの魅力にどっぷりハマった女子がいる。それがプロレス好きな女子、通称“プ女子”。そろそろファッションもプロレスと繋がろうじゃないか。「時は来た!それだけだ」(橋本真也の名言から)。(この記事は「WWDJAPAN」2023年3月20日号からの抜粋です)

令和の“プ女子”は
プロレスをどう嗜む?

 元バッグブランドPRのタイガーネロさんは、2019年に仕事でたまたまプロレスを観戦して以来、見事にプ女子化してしまった。リングには華やかな衣装をまとった筋骨隆々のイケメンたち。彼らに向けて、ペンライトや顔写真と名前入りのボードを掲げる女子の黄色い声援が響く(もちろん往年のファンも!)。そこはまるで、アイドルのコンサート会場のようだったとか。想像していた、筋肉と汗による男の世界が一気に覆された。ネロさんに令和のプロレスの魅力を聞く。ちなみにマスクは、あのタイガーマスクを作ったこともあるご本人作!

プロレス観戦に欠かせない!
三種の神器とコレクション

 カメラは、試合中の選手の繰り出す技やかっこいい表情を切り取る必須アイテム。写真はSNSにアップして、ファン同士で楽しむ。ペンライトは、それぞれ推しのカラーを。コロナ禍で声援が禁止になったことをきっかけに、応援の気持ちを届けられるグッズとしてプロレス界に広まった。今やさまざまな団体が販売中。タオルは入場シーンで掲げる。プロレスTシャツは購入すると選手からサインがもらえたり、2ショットが撮れたりするサービスも。気付いたら30枚も持っているとか。写真集は男女問わずたくさん発売されている。試合中の躍動感あるカットからグラビアまで。そして、ファン垂涎の選手のアクリルスタンドやキーホルダーはプ女子仲間で持ち寄って“祭壇”に!NOAHのファンクラブ限定もあるとか。

選手をパシャリ!
シャッターチャンスは逃さない

倒れてもまた立ち上がる、
それがプロレスだ

 プロレスリング・ノア(NOAH)の清宮海斗選手は、爽やかなルックスと華麗なパフォーマンスで、プ女子からも絶大な人気を誇る。プ女子的には、ファッション誌で見せるちょっとアンニュイな表情もキュンとするとか。清宮選手とネロさんが語る令和のプロレスとは?

――令和のファンはどこでプロレス情報を集めるんですか?

タイガーネロ(以下、ネロ):ツイッターとかインスタグラムとかユーチューブなんかで情報を集めています。最近はティックトックを始める団体も増えていますよね。

清宮海斗選手(以下、清宮):ファンの方がSNSを見てくださっているので、そこでも自分をアピールしないと。言いたいことはツイッターで言うこともあります。

――マイクパフォーマンス的な?

ネロ:選手によってですけど、SNSで煽ったり意思表明したりして、それをファンはハラハラドキドキしながら見守っているんです。清宮さんも最近、新日本プロレスのオカダ・カズチカ選手とバチバチやられていて、すごかったですよ。日本を代表するトップレスラーのオカダさんに、若い清宮さんがどんどんかみつくっていう。

清宮:言える場所があるなら、とことんやってやるって感じですね。ツイッターなんかは、自分が発信するだけじゃなくてコメントもいただけるので、それがまた次のモチベーションにもつながるんですよ。ファンと支え合っている感覚です。

ネロ:SNSで選手のキャラクターを知ってから観ると、より楽しいんです。プロレスって競技人生が長いので、ある意味レスラーの人生も一緒に見ているような感じ。

――なるほど。ところで、痛くて逃げ出したくなることはないんですか?

清宮:いやぁ、さすがに(苦笑)。でも悶絶するぐらい本当に苦しいときはあります。それでも逃げ出そうとは思いませんけど。

ネロ:チョップがえぐいと本当にうっ血して、胸が裂けちゃったりしますもんね。見た目もすごく痛そうなんです。

――そこまでして戦うプロレスの魅力って……?

清宮:僕がプロレスを好きになった理由は、何度やられても立ち上がるプロレスラーの姿に感動したからなんです。もちろん、勝ち負けも重要だとは思うんですけど、戦いの中で見せる闘志みたいなものがすごく大事だと思うし、それを見てくれている人に伝えられればいいなと思っています。

ネロ:華やかな技やかっこいいビジュアルにも目を奪われますが、やっぱり一番はそこに感動するんです。仕事をしていると、どんなにその仕事が大好きでも心を折られることってあるじゃないですか。でもプロレスを見るようになって、何度も立ち上がるレスラーのマインドを知ったとき、分かったんです。失敗してもいいし、倒れてもまた立ち上がればいいんだって。だから、仕事を頑張っている人にこそプロレスを見てほしいです。

タイガーマスクの所有者、干場義雅さんが語るプロレス沼

 後楽園ホールにプロレスを観に行った際に、昔から大ファンだった初代タイガーマスク、佐山サトルさんから、直筆のサイン入りでいただいた僕の宝物です。男のカッコ良さを追い求め、現在は「フォルツァスタイル(FORZA STYLE)」の編集長、以前は「レオン(LEON)」や「オーシャンズ(OCEANS)」などの男性ライフスタイル誌の編集に携わってきましたが……。カッコイイ!を突き詰めていくと、とどのつまりは男はタイガーマスク!に至ります。 孤児として育った伊達直人は、虎の穴で悪役レスラー養成機関のタイガーマスクとなるんですが……。同じような生い立ちを持つ孤児たちに、同じ苦しみを味わせたくないという想いを抱くようになり、やがて伊達直人は出身施設である「ちびっこハウス」に賞金を寄付するようになるんです。表層的なファッションも大事、それを着る人間も大事ですが一番大事なのは「弱きを助け、強きをくじく」という精神性です。本当に強い人は、一番優しい。一番優しい人こそ、本当に強い。ということで、梶原一騎さんが作った漫画の世界を地で行っていたプロレスラーの佐山サトルさんに小学生の頃に憧れたのです。今でもユーチューブで見直しますが、ダイナマイト・キッドとの試合のときのタイガーステップや空中殺法は気絶ものですよ。

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