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ニトリの似鳥会長&幹部が語った「アジア集中投資」「コロナ」「製造物流IT小売業」

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ニトリホールディングスの似鳥昭雄会長兼CEOは5月9日、2023年3月期決算説明会に登壇し、「アジアを制するものが世界を制する」として、人材を含めた投資を中国・東南アジアに集中する意向を明かした。中国事業は販売会社と商社の合算ですでに黒字化を達成しており、今期は40店舗の新規出店を行う中で販売会社のみでも黒字化が見込まれている。アナリストやメディアからの質問も海外関連が大半を占めた中で、幹部や似鳥会長は何を語ったのか?

――海外、とくに中国について。今期、40店舗程度の純増で100店舗を超えるというが、出店の状況や競合の環境、収益の状態は?

武田政則ニトリホールディングス取締役兼ニトリ社長:前年はロックダウンがありお店が完全に営業できなかった時期なので、比べるのは難しいが、今現在、既存店前年売上高は168%で推移している。全体の事業でも前年比200%で推移している。数字としては復活しつつある。出店についても、今期40店舗は計画よりも少し早いペースで物件の交渉が進んでいて、順調に進んでいるところ。前月アモイにオープンしたが、想定よりもはるかに売れていて、商品が足りない状態になっている店もある。北京も売上げがもとに戻っている。数字については手ごたえがある。コロナの状況で退店しているテナントが多くあるので、ニトリの中国のお店は標準500坪と700坪で出店しているが、300坪のホームファッション店でも物件が出てきている。ホームファッション店での出店も含めて加速していきたいと考えている。

東南アジアは私が自分で交渉に行っているが、8月にタイ、9月に香港、11月には韓国、その他、インドネシアもベトナムもフィリピンも順調に交渉が進んでいる。年末に近いころに各地でオープンできると思う。精力的に準備を進めている。交渉している店舗を全部足すと50店舗以上になる。1年間でこれだけの数はオープンできないので、しっかりと準備を進めたい。ASEANではニトリのようにホームファニシング、いわゆるホームファッションと家具を一斉に見れて、しかもリーズナブルに買えるというのは、IKEAさんの他にない。私たちにとってまだまだチャンスだと考えている。逆に早く展開していかなければならないと思っている。

白井俊之社長兼COO(以下、白井):中国については、責任者である董事長はその前、台湾で責任者をしていた。台湾は2007年にオープンし、今は利益率が日本とそん色ないぐらいの成績を上げている。あるところで知名度がついてきてニトリが強くなってくると、他社さんが相対的に弱くなって、お客様がニトリを選ぶようになる。また、そうすることによって、出店の条件が非常に良い条件で(契約)できるようになる。たとえば賃料が相対的に安くなるなど、知名度が上がって、利益率が上がってきたということを彼は肌に感じている。今、中国がその前触れのようになっていることを感じているという。台湾と中国の違いは、国土が広いということと、店舗の面積も広いということが違いになっているが、今年は出店経費をかけても黒字だ。それは最低限のラインで、これから一気に利益率を上げていきたい。

今一番力を入れているのは、人材だ。ニトリグループとして次の世代を担う40代の本当に優秀な人材を、中国、台湾、ASEANにはどんどん輩出して、そういうメンバーが本当にいい仕事をしてきている。そういう人材がどんどんそういう形で力を出していくことよってその地域も良くなるし、次のときにもいい経験になり、さらに発展できると思う。海外は必ず次のニトリの大きな大きなエンジンとして発展させたい。

海外店舗を大型化、1500坪のサイズで積極出店

――現在中国の店舗サイズは500~700坪だが、ニトリの本来のパワーを出すには、1300坪、1400坪が欲しいところだ。でも、ショッピングモールに出ている限りはなかなか大きな面積を任せてもらうのは難しいというジレンマがあると思うが、どう対応していくか?

似鳥昭雄ニトリホールディングス会長兼CEO(以下、似鳥):私もその通りだと思う。やはり自前で土地を買ってとか借りてとか、ショッピングセンター以外のところに路面店を出していくという考えもある。今まで知名度(不足の問題)やコロナがあってなかなか進んでいなかったが、ようやくゴーサインを出した。今探している。1~2年はかかると思うが、かかりの数の自前の店ができてくるのではないかと思う。面積として、日本の場合は大型店は2000坪で、人口が20万~30万人いるところ(は2000坪、それ以外は)、1000坪、700坪となっている。中国は広いから、2000坪まではできると思うが、実験で始めるのは1000坪から1500坪かなと思っている。やってみないとわからないが。

台湾は今、知名度がついて、飛躍的に既存店が2ケタずつ伸びている。前年比110~120%で推移している。去年、おととしぐらいからのことだ。知名度がついてきた。やはり店数が増えて、テレビ戦略で宣伝できるようになった。台湾、暑い国なので、「Nクール」など、どんどんPRされるようになり、飛躍的に伸びている。

では、中国はどうか。人口が多いので、できるだけ湾岸に近いところや北京や大都市周辺に出店して、300~400店舗ぐらいできれば知名度ができるかなと。だから、100店舗、200店舗では知名度が一気に伸びるところまではいかない。できるだけ300店舗まで早く出店したい。今年40店舗、来年は50店舗、その次は70~100店舗と、早く中国だけで毎年100店舗の出店ができるように、再来年ぐらいにはと思っている。その次は毎年200店舗を出店していきたい。

僕はユニクロさんと同じように、海外がビッグビジネスになると思う。これからこれからは東南アジアの時代だと思う。日本にかける精力よりも、海外にかけるべきだなと思う。いい人材、優秀な人材をどんどん送り込んでいる。コロナでなかなか出店ができなかったが、去年、50店舗になり、今年は75店舗、来年は100店舗、再来年は130~150店舗をやりたい。再来年は1年間に200店舗やりたい。そのようなシステムや仕組みを作って、うちの一線級の人材をつぎ込んでいく考えだ。

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